「マイクロフォーマット」感想:マイクロフォーマットは漸進的にセマンティック・ウェブを実現中

Posted on 2008年8月29日. Filed under: 未分類 | タグ: , , , , |

書籍「マイクロフォーマット Webページをより便利にする最新マークアップテクニック」を読んだので、感想を書く。

新しもの好きのウェブ界隈の人にとっては、マイクロフォーマット(microformats)って“今さら”感があるかもしれない。

ぼくも、たとえばEdgeio(2007年12月に閉鎖され、現在はブログのみ残っている)のようにマイクロフォーマットを利用した革新的なアグリゲーションサービスが登場したときにはすごい! と感じたけど、関心はそのあたりで止まっていた。成立経緯や規格そのものを深く調べなかったせいもあり、「HTMLの勝手な拡張。ただし、勢いがあればW3Cが取り込んだりすることもあるんだろな」程度の認識しかなかった。

が、この本を読んで認識が変わった。今自分が制作している案件でマイクロフォーマットに取り組んでいきたいという気持ちも高まった。

HTMLの限界:マイクロフォーマットが必要な理由」(78ページ)という節の説明がわかりやすい。

制作者たちはdiv、span、class、idなどを多用することで構造的かつ意味的なマークアップを行おうとしているが、たとえばclass属性やid属性の使われ方はサイトによってまちまちで、「一貫性のあるセマンティクス」を実現するに至っていない。これについて、W3Cのような標準化団体が標準を定めてくれるのは望み薄だろう、と著者のJohn Allsoppは言う。

「そこで、マイクロフォーマットを使おうというわけだ。マイクロフォーマットの提案や開発には誰でも協力できるし、新たなマイクロフォーマットが成功するかどうかは、ブラウザによるサポートや標準化プロセスに左右されるのではなく、そのアイデアを必要とする市場が決めることになる。(略)
より多く採用されるほど、それがもたらすネットワーク効果も高まるのだ。」(79ページ)

マイクロフォーマットは「革新的」というより「進化的」(個人的には漸進的という形容がふさわしいのではないかと思う)なアプローチであり、「現時点で妥当であるHTMLしか使わずに、仕様に従いながら適切な形でHTMLを利用しているだけ」(80ページ)ということも、この後の章で紹介されるXFN、geo、adr、hCard、hCalenderなどの各規格がどのように決められてきたかを読むと納得できる。

(ちなみにこのようなスタンスは、Microformats Wikiでは「POSH(Plain Old Semantic HTML)」というキーワードで説明されている。)

たとえば、レジュメ(経歴書)についてのマイクロフォーマットである「hResume」について解説した節では、マークアップはステップ・バイ・ステップでこのように進む。

  1. レジュメにはその人の学歴が一覧として記載されるものだけど、すでにあるマイクロフォーマットの再利用の重んじて、学歴は開始日付と終了日付を持つイベントの集合体と見なし、hCalenderで記述する。
  2. どのHTML要素で記述するかといえば、リスト要素(序列リスト)。学歴はイベントのリストと見ることができるから。
  3. 記述内容は、<abbr>要素で略後の正式名称を記述したり、その機関のhCardを埋め込んだりする。

個人的には、このようなくだりはとても楽しそうで、HTMLを書くというのはこういうクリエイティブな側面があるのかと改めて感心してしまった(間抜けな感想だけど)。

Allsopp氏はこう言っている。

「意味を伝えるという観点からHTMLを考えるようになると、自分が記述するHTML文書に一段と豊かな意味体系を与えるチャンスが至るところに現れるのだ。
(略)
私は情報の持つ価値が、意味的なマークアップの程度と何らかの相関関係にあると考えている──要するに、情報本体の中に占める意味的なマークアップの割合が大きいほど、その価値も高まるということだ。」(304ページ~305ページ 太字は中野)

これには大きくうなずくことができたし、制作者としてはすごく励まされる指摘じゃないだろうか。

第3部「事例研究」では、マイクロフォーマットを活用しているワインのコミュニティ「Cork’d」が紹介されている。
運営者のDan Cederholm(彼のSimpleBitsというサイトは超有名!)は、マイクロフォーマットを採用しておけば、API公開と同じように、他のユーザーが集まってきてマッシュアップ的なサービスを実現してしまうような「思いがけない見返り」があったと答えている。

「プラットフォームとしてのウェブ」を促進する効果があるわけだ。

というわけで、この本はマイクロフォーマットの実装技術について知りたい人だけでなく、漸進的にセマンティック・ウェブを実現しつつあるマイクロフォーマットの哲学、戦略、ウェブ屋が取り組むべき理由を知りたいという人にこそお勧めだと思う。

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