エキシビジション上映 / 代役 / 一回性の演劇 

Posted on 2018年11月13日. Filed under: 演劇 |

(※以下の文章は、事実に推測に加えたもの。)

演劇の持つ「一回性」。その強い誘引力は忘れられない体験をもたらすことがある。

強い演劇部を持つ高校があった。A高校としよう。

コンクールに出れば地区予選を経て県大会に進むのは当たり前で、県でも優勝してブロック大会に何度も進んでいる、つまり常勝校だ。

が、ある年そのA高校の演劇部を大量の部員が脱退してしまう。部員がたった1人だけの“1人演劇部”になってしまった。
しかしなんとその年も、優れた脚本・演出・そして1人部員の演技によってA高校は県大会に進出したのだ。

が、大会当日、さらに意外なことが起こった。
その1人部員は、「体調不良」を理由に当日の出演を辞退した。
A高校の演目そのものは中止にはならず、“エキシビション上演”と称して、その学校の中等部の男子生徒が代役として演じることとなった。そして──恐らく急なことで練習がまったく足りていないからだろう──中学生が台本を手にしたまま演じる“朗読劇”だ、と事前に説明されることになったのだ。

演目は、高校演劇ではよく見かける型だが自己言及性の強いもので、つまり名門演劇部に憧れてその高校に入った彼が、何らかのトラブルで自分以外の全部員が部を辞めてしまうという急変で孤独感を味わう中で、顧問の先生に与えられたテーマ──ドストエフスキーの「地下室の手記」を通じて彼の生涯に迫ること──を深めていき、1人演劇部としてやっていく活力を再び得る、というものだった。

演じたのは彼自身ではなく代役の中等部の生徒であり、ところどころつっかえながら台本を読み立ち回る、というスタイルだったのだが。

今日は県大会の2日目で合計5つの高校演劇部が演じたが、ぼくが最も目を見開かされたのはもちろん、この1人演劇部の強いその場性/即興性/ゲリラ性を含んだエキシビション上演だった。

クッソ面白かった…。

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