結局は人の声。「うるさい障害者ユーザー」はウェブアクセシビリティ改善に欠かせない(第2回だれコン表彰式などで考えたこと)
昨日(5月17日)は、第2回だれもが使えるウェブコンクールの受賞サイトの表彰式と、その後、シンポジウム、特別講演、さらに“だれもが使える”というテーマで括った企業出展のライトニングトーク、その後懇親会(ぼくはこのコンクールで実行副委員長という役割を務めてきた)。
第2回だれもが使えるウェブコンクール 受賞サイトとアクセシブルデザイン賞
http://daremoga.jp/ceremony/award.html
第2回だれもが使えるウェブコンクール シンポジウム&アクセシブル製品展示会
http://daremoga.jp/event/symposium20110517.html
Twitterでの実況中継を担当しつつ、登壇者たちの発言内容から考えたことなどいくつかシェアしておきます。
あいさつで話したこと
実行副委員長として、第一部の表彰式の閉会挨拶のときにこんな挨拶をしました。
「
今回のような非常時に、政府・自治体のサイトや大企業のサイトなど、公共性を期待されるサイトが率先してアクセシブルであるよう努めるのは、当然のことです。しかし一方で、この東日本大震災が教えてくれたことがあります。
震災時にインターネット上、特にソーシャルメディア界隈では、普通の個人が現場からリアルタイム情報を伝え、自らの知見を元に分析をし、有用なつぶやきをリレーするといった、草の根レベルの情報共有が活発に行われました。
また企業の対応という面でも、規模に関わらず、志を持ち行動力がある企業は被災地・被災者への情報や物資などの支援に強くコミットするというケースが多数ありました(今も続いています)。このように緊急時・非常時には、自治体でも大企業でもない、一介の個人や小さな企業であっても、意志や機転があれば公的役割をじゅうぶん担いうるということです。
だからこそ、さまざまな人や企業や自治体が発信する情報、ソーシャルメディア上で行き交う情報に障害を持つ人も多く触れることができるよう、上から求められる公共性や企業の大小(=体力)に関わらず、アクセシビリティを普及させていく必要があると思います。
」
「アクセシブルデザイン賞」での談話が収穫だった
IBM浅川智恵子さんの基調講演「アクセシビリティは世界を変える技術へ」抄録(だれもが使えるウェブコンクールのシンポジウム)
11月26日(金)、だれもが使えるウェブコンクールのシンポジウム「「だれもが使える」ウェブから、「だれもが必要とする」ウェブへ」、ぼくは裏方として参加した(副実行委員長なので)。
第2回「だれもが使えるウェブコンクール」シンポジウム 「だれもが使える」ウェブから、「だれもが必要とする」ウェブへ」
http://daremoga.jp/symposium20101126.html
努力の甲斐あって実現した浅川智恵子さん(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 IBMフェロー)の基調講演「アクセシビリティは世界を変える技術へ」がやはりとてもよかったので、つぶやき担当だった自分のTweet抄録&感想シェアで。
狭い領域で困っている人向けの技術やモノがより多くの人に役立つようになる(ことはよくある)、という話。
これは浅川さんが中心となって開発した「ホームページリーダー」(音声ブラウザー)の話。情報へのアクセスを妨げられていた多くの人たちに知る手段を提供した。改めて、すばらしい。
読めるようになっても生産性は…という話。ウェブページを読み上げさせることができても、視覚障害の人はたとえばECサイトで買い物するといったことに健常者の5~10倍も時間がかかるという。
WCAGやアクセシビリティJISに準拠したサイト作りだけでなく、より簡略化したショートカット的な動線を考える必要はないか、と思った(これは学習障害の人たちなどにも役立つかもしれない)
(さらに…)
だれもが使えるウェブ:アクセシビリティの現況を誰が知るべきか、どう変えていくのか(についてのメモ)
ぼくも運営スタッフとしている「だれもが使えるウェブコンクール」の2年めがいよいよスタート。10月、11月と啓蒙イベントを行い、今年もアクセシビリティに優れたウェブを募り、2011年5月に表彰を行います。
10月のセミナーの告知・申し込みページはこちら。
10月15日(金)「盛り上がるソーシャルメディア、話題の新デバイス アクセシビリティの今とこれから」セミナー
http://daremoga.jp/seminar20101015.html
11月26日(金)のシンポジウムの告知ページはこちら(正式な申し込み開始はもうすぐです)。
第2回だれもが使えるウェブコンクール シンポジウム – OpenCU.com
http://www.opencu.com/events/di-2hui-shi
会社サイトに告知記事を書くにあたって、この取り組みを誰に伝えたいのか? ともう一度考えてみた。2つのターゲットが浮かんだ。それについてちょっと書いておく。
狭義のウェブ屋以外の人にも「だれもが使えるウェブ」の実現について関心を持ってほしい
前のアクセシビリティJISが出たのは2004年。
ウェブの関係者、中でも濃い人たちが啓蒙を進めてきたが、現在大して普及していないという事実がある。顧客が飛びつくSEOのように経済合理性がない点や、「そもそも強制力のないJISではダメなんじゃ?」といった仕組みの話は長いのでここでは措くが、ともかく専門家だけが興味を持つような状況が続けば何も変わっていかないのは明らかだ。
多くの人の日常生活でウェブが不可欠なほどになった今、ウェブの制作者・専門家以外の人もこの問題を知ることはより重要になった。だから、より多くの人に知ってほしい。
(さらに…)