読書メモ:「町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト」(Key: 公民連携, 稼ぐインフラ, えぐねランドスケープ…)

Posted on 2016年12月15日. Filed under: book | タグ: , |

町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト(猪谷千香) 」、読了。

さすが元新聞記者、書く力があるなぁという印象。

「地方創生、地域活性化、まちづくり。さまざまなことが言われるが、オガールプロジェクトとそれに関わる人たちを見ていると、言葉遊びにすら思えてくる。それぐらい、オガールプロジェクトは稀有な存在である。(…)不謹慎かもしれないが、たとえ日本が滅びても、紫波町だけは生き残るのではないかと、半ば冗談、半ば本気で思ったほどだ」

と筆者があとがきで熱く語っている岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」について、キーパーソンなどへの取材を軸に多面的に紹介している本だ。

ちなみに「オガール」について、この本を読む前に名前ぐらいは知っていた。で、読む気になったのはこんな理由だ。台風10号で被災の宮古市にボランティアに行った際、「紫波町社会福祉協議会」のマイクロバスや、ビブスを着た人を何度も見かけた。その「紫波町」の町づくりってどんなものだろう…と気になった。

(さらに…)

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「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」(ケヴィン・ケリー)を読んで

Posted on 2016年10月26日. Filed under: Activism, book | タグ: |

昨夜、WebSig24/7の「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則(ケヴィン・ケリー)」の読書会(耳折会)その2に参加して考えたこと、ざっとまとめ。

  • おっと、またよくある罠に陥るところだった(…と気づいた)。この本はパラダイムを示したものではなく、「不可避な流れ」を示したものだ(われわれが向かう先はディストピアでもユートピアでもなく「プロトピア」だ、と最初の章にもある通り)というところには納得できていたものの、その不可避な流れは世界のどこででも同じように起こるものなんだと、また鵜呑みにするところだった。
  • 今回の読書会を通じて落ちてきたのは、直前に自分がこの本をやや批判的な視点でざっと再読したことと、W田さんの炭火の遠赤外線パワーのようなしつこい「日本ではどうなの?」という問いによって、そんなに簡単に実現するものじゃないんじゃね? そこを考察することが面白いじゃね? って切り口だった。
  • (自分のメモから拾うと)「なっていく」ものと「しがみついてしまう」ものとの相克はきっと起こる。その結果、きっと「なっていく」んだろう。日本でもアフリカでも。そこをちゃんと見ていきたい。
  • 本の民」と「スクリーンの民」の話。かつては「話し言葉」によって成り立っていた文明が活版の普及によって「書き言葉」主体となった。書き言葉は本というチャンク(塊)で流通した。それが現在、急速にスクリーンに取って代わられつつある。これは退廃ではなく適応だと考えるべきだろう。この本の中にもスクリーンの普及で人間が読む量は3倍になった、という指摘があったりするし。
  • 考えを少し進めてみた。スクリーン時代に人の思考はどうなるか。たとえば世界史には一国の通史と同時代史がある。学校で主に教えられるのは一国史だが、それは紙の本のリニア性とも関連するのでは? ハイパーリンクで行き来が容易になれば歴史認識は縦でなく横に広がりやすいものになるだろう。またたとえば、ある哲学者の思想を彼が書いた「本(固定化した塊)」で学ぶとき、1人の特異性にばかり目がいくが、アンバンドルされたページを行き来しながら関連思想や出来事と共に学べば、彼と他者、環境との関わりの方により目が行くようになり、特異性よりは時代精神の方への理解が深まるという風な変化も起こるのではないか。
  • 紙の本には終わり(読了)があり、人はそこから考えはじめる。しかしスクリーンには終わりがない。この不可避の流れは人の考え方にも影響を及ぼす。一つよい点を挙げれば、狭い視点での深掘りよりつながりに目が行き、たとえば現代人が肌感覚として捉えることができない気候変動のような大きな相互作用の仕組みへの理解に近づけるのでは、など?
  • 「コグニファイング」の章。有り余る計算パワーは何に使われていく(べき)か、というB西さんの指摘にハッとした。計算能力はもっと無駄づかいされるべき、されていくだろうというもの。エンターテイメント方面とか。これは自分の中にあった疑問と化学反応を起こした。データジャーナリズム的なやり方やインフォグラフィックのような表現はなぜ日本で普及しないのか? とここ数年考えていた。理由は英語圏で行われているような「ファクトによって説得していく」という考えそのものが、日本人にとっては“面白くない”ものだからではないか。
  • Change.orgのような生硬なアクティビズムに、日本人がなぜ拒否感を持つか。民主主義が根付いていないからか? いや“気恥ずかしい”うえに“ちっとも面白くない”からではないか。
  • なぜ人は選挙には行かないのに選挙特番を見るのか? “面白い”からだ。ならば(たとえば)日本で投票率を上げるためには、もっと選挙を“ネタ化”したらどうか? データサイエンティストはがんばってほしい──ではなく、データで何ができるかをわかった上で面白いコンテンツを繰り出せる奴らを総動員すべきだ。

脱線してしまったところで、一旦終わり。

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読書メモ「ビジネスをつくる仕事」 Key: 川の真ん中・船の端, 失敗の隣に成功, 偶然を取り込む, かつて強く今は薄いネットワーク…

Posted on 2016年6月17日. Filed under: book | タグ: , |

ビジネスをつくる仕事」(小林 敬幸)、面白かったので読後のメモです(思い出し用)。

川の真ん中・船の端を狙う

「どの業界、分野においても、独自の特殊な視点や商習慣があるものだ。長年その業界にいるとそれが当たり前になってしまうが、世の中全体から見ると、なんとも特殊で非合理的なものがある。そういうものを新しいビジネスの機会と捉える。その業界の中では、端っこだけれども、社会全体で見ると実は、むしろ真ん中にあるビジネスをやってみる。自分の周囲からは「変」に見られるが、外から見ると「普通」のものをする。たとえると、船の端っこだけれども、実は、その船が浮かぶ川の真ん中のような場所、つまり「川の真ん中・船の端」を狙うのである」

ビジネスをやるときは船(業界)の端だが川(世の中)の真ん中を狙え。

成功事例より失敗事例によく学べ

「敗者に寄り添った敗因の分析をしたほうが実りが多い。そういう状況なら、もしかしたら自分も同じ判断をしてしまったかもしれない、と思いながら聞いたほうが、より多くの教訓を得られるものである。  そういう意味で、社内や同業界の人など、自分と同じような立場の人がした失敗というのは、自分の身に置き換えてよく聞くと、新しいビジネスにつながることが多い。概して、誰かが失敗したビジネスのそのすぐ隣の近い分野には、いいビジネスを立ち上げるチャンスが転がっているものだ。その人が目を付けたのだから、もともと成功のチャンスはあったのだろうが、少し何かがずれていただけなのだろう。その敗因をよく分析して、一部修正して近いところで挑戦すれば、何もないところから挑戦するよりもずいぶんと成功確率が上がる。失敗の隣に成功がある」

成功事例より失敗事例の方が教材として重要。成功の隣に同じような成功はないが、失敗の隣には成功が潜んでいることが多いから。
そして後段では、「時代の変化への対応が上手な組織は、自らの成功体験、失敗体験を、常にいまの時代の状況から見直し、修正し、上手に活かしている」とも言っている。

斜めに補助線を引く

「現代において新規ビジネスをつくるにはどうすればいいのだろうか。「昭和的な方法」と対照となるような成熟社会に有効な手法の一つをここで提示しておこう。(…)現代では、ある分野の会社がすべて成長することはまれで、各分野の勝ち組は、上位一~二社だけである。そのそれぞれの分野の勝ち組の勝因をまずよく観察する。そのうえで、分野は違えども、成功している企業の共通点は何であるかと自分なりに仮説を置いて考えてみる。いわば斜めに補助線を引くような感覚である。そうしていくつかの補助線を持っておく。そうしてから、別のまだ世にない新しい分野、あるいは、誰も成功者がいない不毛の分野に、その成功の共通点を当てはめられないかと考える。あるいは、異なる産業分野の境界線上で、その補助線の延長がぶつかるあたりに着眼点を見出すのである。そして、有望と思われるところを、ピンポイントでまっすぐ狙っていく。斜めに見てまっすぐやるのである」

「斜めに補助線を引く」とは、ある業界での上位企業の勝因を読み解いて抽象化し、別の業界などへの適用可能性を考えるといったことだろう。

筆者が立ち上げに関わったライフネット生命の場合、「サービスのメディア化」という成熟社会での成功パターンの認識、「通販ビジネス(全般ではなく、継続販売など)の成功要因」について知見(補助線)があった。そこへ知人から電話で「ネットの生命保険」の話が来たので、あらかじめ持っていた二つの補助線に適合する事業だと直観することができたという。

ネットワークについての考察

ビジネスを生み出すネットワークについての考察、二つ。

「経営学では、強い結びつきをいうソーシャルキャピタルと、ウィークタイ(弱い結びつき)の創造に対する寄与の議論があるが、実体感では、この二つが組み合わさったネットワーク、すなわち、昔の強い結びつきが、その後薄く広がったようなネットワークが最も創造的に感じられる」

ソーシャルネットワーク論でよく言われる単なる“弱い紐帯”ではなく、“学生時代の親友関係などが、年月が経つにつれて薄まりながらも続いているような交友関係”が、ビジネスの創造において役割を果たすということか。なんとなくわかる。

「最近の経営学で注目されている「ストラクチュアル・ホール」という概念も、似た発想に基づいている。蜘蛛の巣のように多くの人がつながっているネットワークの構造を分析すると、ネットワークのつながり方に密な部分と疎の部分がある。ネットワーク内部に密につながっているグループが複数あり、そのグループとグループの間の連絡ルートが少なく、疎になっているところもできる。その疎の部分がストラクチュアル・ホールである。そしてこのなかなかつながっていない二つの価値体系をつなぐ人こそがビジネスに成功するという発想だ。多くのマネージャーの人脈を分析し、あまり接点のない二つのグループにつながっているマネージャーほど、実績をあげているというような研究もある」

人のつながり方にはバラつきがあり、疎らな部分を行き来して架橋できる人が創造においては強いということ。

偶然を排除せず取りこめ

「私自身の方法としては、あるビジネスを無理やり立ち上げるというよりも、基本的には、そのビジネスが持つ固有の生命力を信じて、その生命力をよりよく発揮できるようにしていくというほうが好きである。従って、そのビジネスの生命力をよく見て、育ち方を読み、正念場のときにだけぐいっと力を入れ、あとは、そのビジネスが本来持っている生命力をうまく発揮できるようにサポートするほうがうまくいく」

低成長であり予見可能性が低い成熟社会では、偶然をうまく利用する「創発的戦略」が効く。1960年代にホンダがオートバイ販売でアメリカ進出した際は、「合理的になりすぎないように注意し、東京ですべてを解決できるとは考えず、現地現場で学」ぶようにして成功した。

最終的にどうあがるか決め打ちせず、複数の成功可能性を維持する「メンタンピン戦略」という表現も出てくる。

成熟社会でのビジネスの生き残り方

「今後の成熟化する社会では、企業とビジネスマンは、社会からのメッセージに耳を澄まして聞き取る能力が必要となっている。さらに、その社会の声とニーズに反応してまた次に質のよいメッセージを発するという、社会との対話をする能力と対話の質が問われるであろう。社会との対話能力は、会社の存続のために絶対必要であり、かつそれは、その会社の本源的価値にもつながっている」

まず聞き取ることに注力し、そこを起点として質のよい対話をすることが必要。

「企業、政治組織、NPOなど様々の組織がソーシャルと名の付くものに殺到している。しかし、多くは、従来のマスメディアと投書欄とアンケート調査を組み合わせたものの域を出ない。一言で言うと、最初からマスへのアピールを意識しすぎているので、よくできたソーシャルにならないのだ。最初は、じっくりと少数のコミュニティと双方向の深い交流をもたなければならない」

しかし対話においては最初から大多数を相手にしようと構えるな。少数のコミュニティーとの「深い交流」から始めるべき。

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読書メモ「明るい会社3M」Key:ブートレッギング, 15%ルール, 社内神話, プロダクト・アウト, 触媒としての「場」

Posted on 2015年6月3日. Filed under: book, Company | タグ: , , , |

「明るい会社3M」(日経ビジネス編)、読了。
出版は1998年。17年前(2015年現在)の本であり、古くなっている部分もありそうだが、ずっと読みたかったが放置していた本であり、あくまで自分の振り返り用にメモしておく。

  • そんな商品は売れないよ。聖歌隊以外のいったいだれが買うんだい」(アート・フライが試作したポストイット原型である「落ちないしおり」に対して販売部門の社員が浴びせた言葉)
  • 3Mの開発部門の不文律2つ。上司に秘密で開発を進めてよい「ブートレッギング(密造酒づくり)」と勤務時間の一部を自由研究につぎこんでよい「15%ルール」(時間はだいたいの割合でいいらしい)
  • 1日平均1.4個の新製品。「おいしい技術をしゃぶりつくす」仕組みが卓越した開発能力を支えている。基礎技術はテクノロジー・プラットフォームと呼ばれている
  • マーケティング(マーケット・イン)よりプロダクト・アウトにこだわる。「顧客が求めるものは、常に今ある商品の延長線上でしかないという限界がある。それを超える画期的な商品は研究者が考えた方が生まれやすい」。また、マーケット・イン型の開発に比べ、他社との厳しい競争を回避しやすいというメリットがある
  • プロダクト・アウトを是正する制度は「ペーシング・プラス」。有望なプロジェクトは全社をあげて応援し、開発期間を短縮させる(変化の速いIT分野などで適用)
  • 「失敗から得る経験は大きい。それに、失敗が死を意味するわけではないし」。そういう雰囲気をつくることが重要。誤った答えを出すたびに厳しく罰せられたら、誰もリスクを冒さなくなってしまう
  • 3Mでは、社内に企業文化を深く植え付けるために「社内神話」を積極的に利用している
  • 我々はカリスマの力を個々の経営者など『ヒト』に求めるのではなく、『企業文化』に求めている」(デジモニ会長)
  • 3Mは、アメリカ企業としては珍しく中途採用をほとんどせず、ほとんどの社員が終身雇用に近い形で働いている。企業文化を深く理解した社員は、商品が多く、進出市場も沢山ある企業内で組織の壁を超えたネットワークをつくり、3M流のイノベーションを支えている。つまり強みの原動力になっている
  • 社員は常に動き続けなければいけない。そうすれば、どこかでイノベーションが自然と起こってくる。他国の現地法人との交流は、1+1=3になるような相乗効果がある」
  • 「96年5月、米3Mからマイクロ複製技術を発明したロジャー・アップルドーン氏が講演のために来日した時のことだ。畑さんは講演が終わったところでアップルドーン氏をつかまえて、自分がマイクロ複製技術を応用して開発した梱包用の緩衝テープを見せた。当時、この緩衝テープは完成したものの、どのように商品化したらいいかわからない状態だった。話を聞き終わるや否や、アップルドーン氏は助手にライトファイバーを持ってくるように命令した。そして、ケーブルに緩衝テープを巻き付けた。すると、一方向に強い光が発生した。アップルドーン氏は一通り話が終わると、『きみはライトファイバーのプロジェクトに参加すべきだ』と助言した。その後、畑さんは社内ベンチャーチームに参加して、緩衝テープ巻き付けによって光の強さを増す技術を完成させた」
  • 米国では研究者だけでチームを組んでいるが、日本法人は販売部門も巻き込むスタイルにした。また未完成の段階から顧客訪問を精力的に行い、要望を聞いては試作品をつくることで、成功ケースを生んだ
  • アイデアは世界中の社員が優れたものを出してくるので、管理職の役割は仲介役として応援したり、アイデアがぶつかり合う場所をつくることだ
  • 正しいことを毎日、毎年、一生懸命続けることが大事。3M発祥の地であるミネソタの麦づくり、日本の稲作、エクアドルのエビの養殖に共通する秘訣は「勤勉」である
  • 5人で創業した3Mは早々に経営が悪化した。危機脱出のため「当初の事業目的だった『コランダムの採掘』にはこだわらず、なんでもいいから生き残る──。それが企業の目的となった。そんな中で、経営陣は、コランダムそれ自体を販売するだけでなく、コランダムを材料として作られるサンドペーパーを製造・販売するメーカーに転身することを考えた
  • 競争が激しい市場に、特徴の薄い商品を出すようなことはしない」(中興の祖といわれる第4代社長ウィリアム・マックナイト)
  • 「貴社がサンドペーパー製造に使用している研磨粒子の見本を送ってください」という奇妙な手紙をきっかけに耐水サンドペーパーを開発したことが、他社と違う商品を世に出す企業としてのきっかけになった
  • マスキングテープを改良するための開発で、マックナイト社長は開発者であるリチャード・ドゥルーに手を引くよう命じたが、ドゥルーは密かにやり続けた。ある日、その現場を通りかかったマックナイトは無言で去っていった。その結果、大ヒット商品セロハンテープが誕生し、企業文化である「ブートレッギング」の原点になった
  • 企業は『最善を尽くす』という動機を持った人たちに依存しています。ですから、社員を尊重しなければ成功はおぼつきません。私がここで言っている『成功』というのは、数年間だけの短期的な成功ではなく、長年にわたって続く成功という意味です」
  • 「私は会長になって5年になりますが、引退まであと5年あります。会長在任期間の10年間で、これからお話しする現在開発中の技術が利益をもたらすことはないでしょう」
  • 過去4年間に市場に出した新製品で最低30%の売上を稼ぐ。過去1年間に市場に出した新製品で、最低10%の売上を稼ぐ
  • 知識変換プロセスで重要な役割を果たすのが、触媒としての『場』」(野中郁次郎)。オフィス、仮想空間、人間関係、人間同士が共有しているメンタルスペース(共通の思い、イメージ)
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「想像ラジオ」(いとうせいこう)感想:生きる者には死者が必要だ、と説く不思議な融和効果がある話

Posted on 2013年5月28日. Filed under: book | タグ: , |

いとうせいこうの小説「想像ラジオ」を読んだ。

2013年3月11日に発売されたという。最初の発表は「文藝」誌上だというから、純文学というジャンルになるんだろうか?

東日本大震災が起きておそらく数ヵ月から1年ぐらいだと思うが、ぼくはフィクションがほとんど楽しめない時期があった。
震災についての膨大な記録を読んだり見たりし、ともかく向き合わなければならないという責任感と、フィクションを楽しむことはよくないという自罰的な思いが合わさったもの。その思いは衰えたが消えてはいない。

こないだ「ヒア アフター」(クリント・イーストウッド監督)という映画を観た。
冒頭、スマトラ沖地震をヒントにしたと思われる大津波のシーンがある。とてもよくできた映像だったが、「ここは違う」「こんな風じゃない」と、粗探しをやめることができなかった。そしていらいらした。

毎年終戦記念日前後に第二次世界大戦下の日本を扱った啓発ドラマがつくられるように、これからは3月になると東日本大震災の悲劇をテーマにしたドラマがつくられるようになるのかもしれない。
しかし個人的には、まだ早い、という思いがある。作り手がより普遍的な訴求力を高めようと、起こったことを丸めたり事実を脚色したりするのはまだ許せるとして、それを多数の人が「消費」するという行為に強い反発を感じる。
丹念に探せば沢山の体験談があり、証言があり、話を聴くことができる人がいて、行って見ることができる場がある。まずはそれらに向かい合ってほしい、と思うのだ。
(さらに…)

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「電子書籍奮戦記」(萩野正昭):電子書籍が持つかもしれない「書く」「読む」自由の話

Posted on 2010年11月30日. Filed under: 未分類 | タグ: , , , , |

株式会社ボイジャー社長、萩野正昭さんの「電子書籍奮戦記」を読んだ。

内容は、ぼくにとっては「電子書籍」をビジネスをするための「奮戦記」以上のものに感じられた。
漠然としたベクトルを食える仕事として立ち上げること、好きを突きつめていく過程での孤独や出会い、そして経営することの重みなど。

MacintoshのHyperCardの話やネグロポンテのベストセラー「ビーイング・デジタル」の話など、壮年以上でIT関連業界にいる人なら、同じ時期に自分が何を考えどんな選択をしたかを重ねながら読むと、さらに面白さが深くなると思う。

沢山の折り目をつけながら読んだので、特に印象に残ったところを引用する(強調はぼくによるもの)。

自分にとって些細な指摘が、ある人にとって大きく響くこともあれば、根本的に重要な問題と私が思うことに、誰も関心を払ってくれないこともあります。その隔たりがあまりに大きいので、心が平静でいられなくなる。ものすごい幸福感と絶望とが常に隣り合わせに存在し、その振幅に心が翻弄されてしまうのです。とくにメディアに従事する人たちに自分の問いかけが響かないときなど、一体何をもってその人たちに対峙すればいいのか、視界が閉ざされてしまったように感じることが私にもあります。」(54ページ)

「ボブ・スタインがコロンビアとハーバードの両大学で教育心理学を学んだこと、学生時代から政治に身を投じていたこと、毛沢東主義者であったこと、卒業後も社会変革をめざして皿洗いなどをしながら共産主義の情報宣伝活動をつづけていたこと、ビラまきコミュニケーションに限界を感じたこと。(…) やがて彼は、革命思想の普及には人がものを理解できるようにする術がもっと必要なのだと考えるようになります。ちょうどそのころ、メディアラボでの次世代電子コミュニケーション技術の研究を知り、そちらへ進路を向けていったのです。(…) 百科事典の将来について、ボブ・スタインは論文を書いていました。(…) そんなとき、パーソナルコンピュータの生みの親とも言われるアラン・ケイが書いたものの中に「ダイナブック」という考えがあるのを彼は見つけていました。ダイナブックは、将来のパーソナルコンピュータのありようを明確に指し示していました。(…) ボブ・スタインはたまらずにアラン・ケイにコンタクトをとったそうです。アラン・ケイは快諾し、すぐに面会に至ったとか。そればかりか、目の前でブリタニカに提出した例の論文を読み切って、一緒に働かないかと申し出たのです。」(60ページ)

(さらに…)

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「吉越式会議」メモ:早朝会議は「ほったらかしになっていた、こうあるべき」をやりきる原動力

Posted on 2010年1月22日. Filed under: 未分類 | タグ: , , |

吉越浩一郎(元トリンプ社長)さんの「吉越式会議」、読了。というか2.5回読んだ。

ぼくは吉越さんが現役時代からのファンで、「早朝会議革命」(これの著者は吉越さんではないが)「2分以内で仕事は決断しなさい」「革命社長」は再読すべき本としてデスク上に置いてある。「2分以内で…」は社員全員に読ませた。

トリンプ退任後、ラッシュのごとく出ている吉越さんの本には食指が伸びなかったが、この本は吉越ウェイの最重要なプラクティスである「早朝会議(MS会議)」についての本だから見逃すわけにはいかなかった。

先に結論を言うと、これまでの本と重複はあるが、この本だけの重要な収穫があった。特によかったのが、「早朝会議の議題は何を解決するものか」について、より踏み込んだ説明があったこと。読んでよかった。

以下、重要なところ。
(吉越本を味読してしてきたぼく向けであって、万人向けではないかも)。
(さらに…)

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