『物語なき、この世界。』:逃げ水のような話、共感性羞恥、刺さるトゲ

Posted on 2021年7月20日. Filed under: 演劇 | タグ: |

『物語なき、この世界。』、シアターコクーンで観た。

この芝居は、数年前に観た(調べてみたら2018年らしい)『そして僕は途方に暮れる』の続編なのだと、観る当日に知った。公式サイトで。主人公が同じなのだ。(が、前のを観ていなくてもあまり影響はないレベルだった。)

コロナ禍のいま、人が多いターミナル駅に行くこと、大きな劇場へ行くことには奇妙な高揚感が伴う。

感想。三浦大輔の作風ってあいかわらず逃げ水だな。すくえそう、だけどこぼれていくと思った。

弛緩した筋運び、いくつかの俗悪な描写。観ていると湧き上がる、いたたまれなさと共感性羞恥のようなもの。で、ときおり垣間みえる怜悧さ。

この作風と、若干キラキラしたキャストには乖離がある。それがシュールだ。 
主役を演じた岡田将生のファンなのだろうか、観客席には上品な女性の姿が多かった。わざわざお洒落なBunkamuraまで来て観劇し、おっパブやヘルスのシーンなどを見せられるのはどんな気分なんだろう──と要らぬ心配をしてしまった。

映画や音楽を含む“物語”に対するメタ言説。タイトルそのものへの言及も多い。どれも大した洞察ではないと思わせられるが、それが重畳してくるとトゲが刺さってくる感覚がある。

S席1.1万円払ってグダグダした話を見せられ、“物語はない、出来事だけだ”とか説教され続ける約3時間。よかった。

帰り、渋谷駅へ向かうとき、オープンな飲食店で見つめ合う幸せそうなカップルの顔が目に入った時、なんともいえない気分になった。これが “物語があるかのように装っている世界か…” と。

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