『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ ディレイビューイング』感想:不満は多いが終盤の『連獅子』決戦は最高!

Posted on 2020年3月9日. Filed under: 演劇 | タグ: , |

『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ ディレイビューイング』を観た。

前編について。

後編はだいぶいいというレビューもあるので評価は保留したいが…前編を観た感想としては、期待を下回っていた。

スーパー歌舞伎やいのうえ歌舞伎のような派手なエンターテインメントなのかと思っていたが、古典的な歌舞伎の様式にナウシカの世界を馴染ませようとしている感じ。棒立ちの会話が多く活劇的魅力が少ない(本水を使った立ち回りなど、数少ないアクションシーンは魅せるものがあるが)。また、人物たちの衣装がチグハグで統一された世界観がないように見える。

前編は、土鬼との騎馬戦に勝利してナウシカがクシャナの元を去るところまで。ディレイビューイングでは、尾上菊之助が怪我をしたというトリウマの合戦シーンはなし。漫画版では相当盛り上がるところなので、肩透かしを食らった感じがした。

後半は、より精神性が強くなり難解にもなるが、どう表現するんだろう…。

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング後編。

6時間半で原作すべてをやるのは、やっぱり無理があったと思う。

この歌舞伎は、

  1. 棒立ちの人物たちが朗々と喋るシーン
  2. 見どころを古典歌舞伎の演出に落とし込んだシーン
  3. スーパー歌舞伎のような現代的活劇シーン

などの組み合わせで進んでいくのだが、1.の多用は退屈だったし、短いシーンの積み重ねで集中できないことが多かった。

そして一番重要なのは、メーヴェの滑空感、大型貨物艇の質量、巨神兵の異形ぶり、剣劇や騎馬戦のスリルなど原作の魅力の多くを取り込み損ねていたことだ。ナウシカはよく動く主人公のはずだが、歌舞伎版では動きが少ない。主役というより狂言回しのように見えた。

主題について。
ナウシカ漫画版は映画が終わるところからより複雑になるし、「自然対文明」といった単純な構図ではないところに深みがある。そこにちゃんと取り組む意欲があったのか、疑問がある。個人的には土鬼(ドルク)の扱い、西欧文明側から見た暗愚、そこに潜むオリエンタリズム批判も肝だと思うのだが、そういう深さは望めないと感じた。

…。
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…。

しかし!!!

終盤、シュワの墓所で「主」とオーマ(ナウシカを母と慕う巨神兵)が戦うシーンがはじまり、思わず姿勢を正してしまった。
ここは『連獅子』をモチーフとした乱舞で描かれると知っていたのだが(Eテレで観たとき、へぇ~としか思えなかったのだが)、このシーンがすさまじく劇的、圧巻だったのだ(原作の意図に沿っているかどうかは措きたい。ただ、劇として出色だった)。

評価、3/5。観てよかった。

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