「エンドルフィン」(モノモース こまばアゴラ劇場)を観たよ

Posted on 2017年5月25日. Filed under: 演劇 |

「エンドルフィン」、モノモース(という3人の演劇ユニットらしい)、こまばアゴラ劇場で。

2017-05-24 18.52.17

水曜夜、ほぼ満席。ゆるいアート系の女性多めか。前の女性の背中に”Atrantic City Playground”と書いてあった。
肩慣らし終わり。

登場した男、「数世代前のAndroid端末」を拾う(この言葉、時代感が出ていていいなと思った)。

スマホ内には「エンドルフィン」という名前の音声ファイルがいくつかあり、それが再生される。と、3人の男女がときには1人を演じ、それ以外にもさまざまな役を演じ分けながら(…らしいが、割と不分明だ)音声を吹き込んだ男の物語を追っていく。

男は“旧・希望の島”というゴミ捨て島(東京の夢の島やフィリピンのスモーキーマウンテンのようなイメージだろう)に、10歳の頃親に軽トラで運び込まれ、捨てられた。

(以後数年の話のはずだが、男の話ぶりは成人らしいもの。)

旧・希望の島は隔絶された環境にあり、“6年前に閉鎖された”という言葉から、これは福島のことを暗喩しているのだろうか? と考えた。そこからずっとストーリーの寓意を探りながら観ていたが、それ以上ディテールは付け足されない(やや落胆した)。

その代わり、男が生き残るため、食料を得るためのグロテスクな挿話がひたすら続く。役者はギャーギャー叫ぶし(揶揄しているのではない。腹の底から出す声の迫真力はすごかった)、動物、特に猫好きにはかなり辛い描写があり、疲れた。

ただ一場面、男と同じく島に捨てられた盲目の少女が(恐らく)子猫を殺す、緊張の頂点で彼女が刃物を引くシーンが強く印象に残った。“スゥッ…”という間近で聞こえ、瞬間、名づけがたいものが体を走った。

芝居、小さな舞台ならではの稀有な瞬間だったろう。
そういえば、役者たちが叫びがちに発話するたびに飛び散る唾のしぶきがずっと気になっていたし、ライトに照らされる埃も目についていた。そういう生理的な感覚がひたひたと積み上がっていたことも、このシーンに鋭敏に反応できた理由なのではないか。

正直、肝心のストーリーにあまり納得できなかった。

人が(自分が)寓話に没入できるのはどんなときだろう。現実に対する別の(新しい、批判的な、など)見方を提示してくれるとき? 何か深いところの原型のようなものを示してくれるとき? それがこの話には感じられなかった。

表現(小道具、衣装、役者の動き)は多々見るべきところがあったが、どれもグロの嵐に結びついていた。あそこまで偏らせなくてもよかったんじゃないか。

ついでに、モヤモヤするので吐き出しておく。

たとえばぼくらが映画を観てボコボコに貶したりできるのは、撃っても弾はどうせ相手に届かないと思っているか、当たっても相手の皮膚は厚いから貫くことはないと信じることができるか、ちゃんとした批評空間があって自分の意見以外にもさまざまなレビューが溢れるだろう、と安心できるからだ。

この芝居は(一シーンを除けば)正直ダメだなと思ったが、帰りの電車の中でTwitterにはかなり抑制した内容を投稿してしまった。
そもそもこの規模の芝居だと、ネット上に関係者や知り合い以外が書いたレビューの量が乏しい。そして、アフタートークで(本当はすぐ帰ろうと思ったのだが出るに出られず…)ユニットの旗揚げ公演です、初日です、皆さんの感想がとっても気になります、などと役者たちが言っているのを聞いてしまった。しかも3人のその姿にはとても好感を持ててしまったから、だ。

2017年06月29日、追記。うーん。

「本作の原作となった沙藤一樹の小説「D-ブリッジ・テープ」の原作利用許可手続きおよび表記を怠った事案を受けて、作・演出の山崎彬、モノモースの大塚宣幸、玉置玲央、藤本陽子、東京公演の会場となった東京・こまばアゴラ劇場の芸術総監督・平田オリザの3者が協議し、このたび払い戻しが決定」

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