映画「サラの鍵」:フランス・ヴィシー政権下で起こったユダヤ人を強制連行事件

Posted on 2017年4月19日. Filed under: 映画 |

DVDで映画「サラの鍵」を観た。

第二次大戦中、ドイツに敗北したフランスにできたヴィシー政権下で起こったユダヤ人の大量検挙事件「ヴェルディヴ(競輪場)事件」をモチーフにしたもの。

パリのユダヤ人街マレ地区では1万人ものユダヤ人が検挙され、競輪場に非人間的な状態で数日間監禁された後、アウシュビッツなどに送られた。もちろん大半の人が生還できなかった。

映画の導入は、ある女性ジャーナリストがマレのアパートに移り住んだことをきっかけに事件を探求していくというもの。ぼくの生涯ベスト10に入るアンジェイ・ワイダの「大理石の男」と似た構成で、胸を高鳴らせながら見守ったのだが、夫婦のメロドラマ部分が強すぎ、歴史の暗部に力強く迫っていくようなスリリングさは乏しかった。

劇中、教訓めいたシーンがある。
ユダヤ人たちの連行で街が騒然とする中、アパートの窓から女がいい気味だ! と叫ぶ。当時ユダヤ人への嫌悪が醸成されていたのだろう。それに対して別の窓から男が叫び返す。やがて自分たちにも降りかかるぞ! と。

マルチン・ニーメラーを思い出した。

「ナチの連中が共産主義者達を連れて行った時、私は黙っていた、私は共産主義者ではなかったから。
彼らが社会民主主義者達を拘留した時、私は黙っていた、私は社会民主主義ではなかったから。
彼らが労働組合員達を連れて行った時、私は黙っていた、私は労働組合員ではなかったから。
彼らがユダヤ人達を連れて行った時、私は黙っていた、私はユダヤ人などではなかったから。
そして、彼らが私を連れ去った時、私のために抗議してくれる者は、誰一人残っていなかった。」

もう一つ。取材が進み原稿の多くが形になった編集会議で、ヴェルディヴ事件を知らなかった若い女性記者が、こんな酷い話は現代なら信じられないと吐き捨てる。対して若い男性記者が、ぼくらだって中東で起こっていることをただテレビで観ているだけじゃないか、と返す。

事件をめぐる総括、戦後のフランスの対応についてメモしておく。

「フランス人がユダヤ人を強制連行してアウシュビッツに送ったという事実は、長い間公にされていなかった。しかし1995年に大統領に当選したシラクが大統領就任直後に、第二次世界大戦中フランス警察が行ったユダヤ人迫害事件であるヴェルディヴ事件に対して、初めてフランス国家の犯した誤りと認めたのである。しかしシラク大統領が公に認めるまでこの事件を知らなかった国民が大半だったという。」

「7月16日~17日は事件から70年にあたりますが、式典に参加したオランド大統領は「この事件に直接手を下したドイツ兵は一人もいない。事件はフランスでフランス人によって行われたというのが真実だ」といった主旨の発言を行っており、フランスの責任を認め謝罪しています。」

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