東北地区高等学校演劇発表会を観に行った(「いつか、その日に」「ジョシ」「よろずやマリー」感想)

Posted on 2016年12月30日. Filed under: 演劇 | タグ: |

第49回 東北地区高等学校演劇発表会、2016年12月24日(土)、3日間開催のうち2日目を観に行った。場所は福島県いわき市のいわき芸術文化交流館アリオス。

2016-12-24 10.16.53

以下、印象に残った3本の感想。

福島県代表 相馬農業高校飯舘校 「サテライト仮想劇 いつか、その日に」

2016-12-24 12.51.21

コンクリの堅牢な校舎でなくプレハブの“やわらかい床”での学校生活。高校生にとって避難の5年は“ずっと続く”と同義。福島市にある同校の生徒の8割は飯舘村と無関係。が、ある日とつぜん学校の帰村で引き裂かれる、というIf。すごい劇だった。

福島市内の高校に間借りするプレハブ校舎。生徒の8割は飯舘に関係がない。学校が帰村を決め、通学を希望しない生徒らは転校に。原発事故という大きな物語ではなく、彼らにとっては高校の3年間こそが大切なのだ、と気づかされる。

宮城県代表 恭敬学園北海道芸術高校仙台サテライト 「ジョシ」

四番目は宮城県代表、恭敬学園北海道芸術高校仙台サテライトの「ジョシ」。女優二人だけ、シチュエーションはほぼ単一、大人の台詞劇、と高校生“らしい”アドバンテージは捨てた舞台だったが、面白かったなぁ。二人が役にピッタリはまっていた。

福島県代表 県立大沼高校 「よろずやマリー」

2016-12-24 20.41.18

最後は、福島県代表、県立大沼高校の「よろずやマリー」という演劇だった。

観終わって、前日の土曜日、南相馬・小高のお手伝いでの出来事を思い出した。小高駅近くのエンガワ商店の前にクルマを停めて昼食を食べていた。すると、ぼくらをボランティアと認めた男性がこう話しかけてきた。

皆さんがボランティア活動をする際、イノシシなどをよく見かけることはあるか?と。

彼は、南相馬市博物館の人だということだった。

「よろずやマリー」は、あばらやのような古道具屋風のセットで話が進む。店主は気難しいマリーという女性。店の中央にはアンティークのルームランプがあり、彼女はそれを大切に思っている。

いつの時代のどこの国の話なのか示されないのだが、冒頭で「イノシシ」という言葉が出てきて、ちょっとだけ引っかかる。

彼女は偏屈で、周りから嫌われているらしい。ガラス窓が割られ、会場のほうぼうに配された俳優たちから罵声が飛ぶ。

「出ていけ!」
「帰れ!」

そして。

「賠償金もらっていい思いしやがって!」

マリーは避難指示区域から逃れてきた。
被災直後、彼女は避難先の体育館で子どもの遊び相手として献身した。
店内に集めていたガラクタ(としか他人の目に映らないもの)は、瓦礫の中から拾い集めたものだった。
大切にしているルームランプは、彼女が「ダーリン」と呼ぶ男性と一緒に買った思い出の品だ。
苦境に陥ったとき彼女が黒電話からダーリン宛てにかける電話は、実はどこにもつながっていなかった。彼は消防団員で、津波で亡くなっていたのだ。

…と、あざといほど原発事故以後の状況を取り込んだ物語に、正直面食らった。

自ら高校生役を演じる役者たちは、当時小学生だった。彼ら自身がその一部となっている劇を見て、たとえ濃厚だろうが薄味だろうが、高尚だろうが浅はかだろうが、ともかくあの事故が起こってしまった影響は影響圏内にある人に深く刻みつけられたのだ、と強く印象づけられた。

同時にこんな思いを持った。高校生達よ、きみたちがやりくりすべき状況や悩みは、ぼくが安閑と過ごした高校時代に比べてあまりにも重すぎる、と。

広告

Make a Comment

感想やアドバイスがあれば、お気軽にどうぞ

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

Liked it here?
Why not try sites on the blogroll...

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。