読書メモ「牛に化粧品を売る」 Key: チェンジレバー, 選択肢3つ, レジ3回作戦, 4色ペン顧客台帳, やってみせ

Posted on 2016年11月29日. Filed under: book |

牛に化粧品を売る」(長谷川 桂子)、読了。

この本、すごかった。よくあるタイプの営業本かな(…まぁそれでもヒントはあるだろう)と読み進めたけど、グイグイ引き込まれた。

「 牛に化粧品を売る 「生涯顧客」を作る、カリスマ販売員の接客習慣」(長谷川 桂子)

Amazonでこの本に星一つのレビューを付けている人がいる。確かに奇を衒ったノウハウはない(口をあんぐり開けて特別おいしいものが落ちてくるのを待っているようなタイプ向けの餌はない、という意味)。「たったこれだけのことじゃがー。おまえらなんで、たったこれだけのことができんのならー」(筆者の岡山弁での檄)といった内容だ。

以下、思い出し用メモ。

牛(を飼っているお爺ちゃん)に化粧品(毛髪スプレーと高級ブラシ)が売れた話。

  • 売ることは聞くこと。相手に何か一言でも喋らせること。愚痴や悩みにもお客様の次の興味は隠れている。最悪なのは、「こんな新製品が出たんです」と一方的に説明をしてしまうこと。

接客について。

  • スタッフの接客力の磨き方、大切なのは「やってみせ」。毎月商品を決めて販売数を競い合う。「誰が来ても声かけてみるから、私がなんで失敗したのか、見よんなさい。成功したら、どの言葉がよかったのかちゃんと考えて」。実際に売れたセールストークはトイレに貼っておく。
  • 雑談を商談に変える「チェンジレバー」。芸能人の話題が出たらチャンス。「そうね、あののりピーっていろいろあったけど、とっても綺麗ね。なんであんなに綺麗なのかな?(眉の引き方のセオリーへ)」「あの女優さん綺麗な白い肌よね。シミひとつないでしょ。何でかな?(UV対策クリームの話へ)」「どうして旬の魚ってあんなにおいしいんでしょう?(ビタミンB群のサプリメントの話へ)」
    ただしチェンジレバーは販売員一人でなくお客様と一緒になって引くべき。会話の中に相手の言葉を引き出す仕込みを。そうでないとお客様は「売りつけられた」と思ってしまう。
  • 初めてのお客様、まだ関係ができあがっていないお客様には三分咲きの笑顔で。「理想は、美智子妃殿下の笑顔ですね。少し歯を見せて、口角が上がって、慈悲深さがあふれている」
  • 安達太陽堂には口紅が450色もあるが、3色出して選ばせる(この“技”はすごい。対面販売という“圧”もあるだろうが、ECのリコメンドエンジンなどでも参考になるのでは、と思った)。
    「まず…今つけている色を覚えます。そして…一番お勧めしたい色をまず、頭の中で決めます。これが一本目。…そして次に、今、お客様がつけていた口紅やお化粧、洋服の好みから、お客様にとって無難な、お客様がいつも好んでいる色を選びます。これが二本目。最後に、このお客様は絶対にこの色は選ばないだろうなという、お客様の好みとは対極の、『突飛な色』を選びます。これが三本目です。…必ずと断言してもいいですが、お客様は、それまでに興味を煽られていたこともあって、1本目を選びます」

売るチャンスを最大限活用する(これこそリアル店舗の力じゃないだろうか)。

  • 桂子のレジ3回作戦」。
    安達太陽堂はレジから出口まで24歩、15秒かかる。化粧水を買ってくださったお客様と雑談をしながら出口までお送りし、「今日は暑いですね。…首の後ろも、日焼け対策してる?」。反応が返ってきたら店内に引き返し、日焼け止めをご案内(1回目)。もう一度お見送り。途中、「秋の新色の口紅が出たんですよ」とご案内。春先なら「花粉大丈夫?」(2回目)。3回目はさらに車までお送りする途中で、など。
    安達太陽堂の商品陳列は一番奥の化粧品カウンターから見て、右手は口紅・ファンデーションなどの化粧品、中央は雑貨、左手は漢方などの薬類というレイアウトにしている。最初のお買い上げの後、お客様の興味のありそうなコーナーを歩き、お勧めする作戦。「24歩15秒の間にチャンスはいくらでもあります」。
    この接客を成功させるコツは、レジをその都度閉め、お客様にとって「失敗してもいいから一度買ってみよう」と思える3,000円を超えないこと。

顧客台帳の仕組みについて。

  • 3,000人のお客様について全て顏写真を貼り付ける。来店時に髪型を変えたこともわかるし、DMを書くときも目から入ってくる情報でいろんな記憶が甦る。
  • ペットの名前も必ず書く。「少子多犬化」の時代、「○○ちゃん元気?」でお客様との距離は縮まるし、ペットの名前が宛名に入ったDMをすぐ捨てる人はいない
  • カラーシールで属性を分ける。ピンク=気難しい人、グリーン=物忘れのひどい人、オレンジ=アイメイク商品は絶対に買わない人。
  • 4色ボールペンで属性を分ける。グリーン=午前中に買い物に来る人。ブルー=午後に来店する人。黒=配達をさせていただく人。パターンが変わったらご家族が病気になったなど家庭事情に変化があったかも知れない。フォローする。赤=売り出しDMのときだけ買う人。DMを確実に届け、反応がなかったら失礼にならないよう近況をおうかがいする。

バザールの仕組み。

  • バザールで来店いただいたそのときに3ヵ月後のバザールの予約をとっておこうと思ったのです」。バザールは予約の商売であり徹底的に準備をする。「戦う前の日に100%の準備が終わっていることが必要です」。
  • また、バザールを発案したことで、成功のために何をするかを考えたとき、顧客台帳の強化(ペットの名前、カラーシール、4色ボールペン…)、年間2万通のDM葉書への注力などが派生的に生まれた。

DMについて。

  • お礼のDMで「いかがですか?」「気にいっていただけましたか?」など商品の感想を尋ねることは絶対しない。「渋谷西武のミキハウスの店長が、綾ちゃんのセーターはきっと似合っているんでしょうね、と手紙をくれたときの私自身の気持ちを思い出してみると、やっぱりそうなんですね」。
  • DMには「あなたにもう一度会いたいわ」など相手がドキッとする一言を書く。

リピーターを育てることについて。

  • リピートとひと口に言うが、2度目の来店はそれほど難しいことではない。難しいのは3度目。そのお客様の1度目と2度目の買い物を見て興味のあるものをDMで案内する。また、サンプル品を見せ「(入荷は)来月ですから」など次に来るプロミス(約束)を得る。「化粧くずれ対策をしてくださいね」など宿題を出し、ちゃんとできてる? 相談に来てくださいね、とフォローDMを出す方法もある。

最後に、一番響いたところを丸々引用しておく(電車内で読んでいて涙が出た)。


地方新聞で知った情報や、お店のお客様からの情報で年間50回ぐらいの葬儀に参加します。
私が行った方がいいときもありますが、夫(社長)が参列することも多いです。
お客様との関係や、葬式の大小にもよりますが、これはお客様への気遣いでもあります。
親が死んで、化粧品店が香典を持って焼香に来たというと、いったいこの嫁はいくらほど化粧品を買い込んでいるんだと思われて、かえって辛い思いをさせてしまうこともあるからです。
安達太陽堂のVIPのお客様で年間50万~60万円ほど購入してくださっているお客様がいました。
このお客様が、交通事故で亡くなりました。
そのときは、私も本当に悲しかったけど葬式には出席しませんでした。
そのお客様はご主人が病気で入退院を繰り返されていました。周囲の方から、せめて自分が明るく振る舞うことでご主人を励まし家族が暗くならないように努めているという話を聞いていたので、私も応援していたのです。お化粧をされるのも、そのためだと思っていました。
ところが、闘病中のご主人ではなくて、ご主人を支えていたそのお客様が不慮の事故で亡くなられたのです。
お客様ご本人が亡くなられたので、参列させていただいて当然なのですが、参列しませんでした。
自分が入院して苦しんでいる間、嫁が化粧品を買い込んでいると知ったら、浮気でもしようとしていたのかとご主人が誤解されて、ご主人にとっても亡くなられたお客様にとってもこれほど不幸なことはないと思ったからです。
葬儀の日、心の中で手を合わせてお別れを言いました。気遣いを怠ったらかえって逆効果になることを忘れてはいけないと思います。

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