「生きる」(黒澤 明)の4K版上映を観た

Posted on 2016年9月30日. Filed under: Movie | タグ: |

TOHOシネマズ日本橋で「生きる」(4K上映)を観た。

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観ているときはさほど感じなかったが、劇場の記憶をもったままDVDを観てみると違いが明白だ。

4K版は画面がかなり明るくなり(それによってディテールがよりハッキリと見え)、くぐもっていた音がクリアになり、画面のチラつきはなくなり、プツプツいうノイズも消えている。画面上のどこにピントが合っているのかもよくわかるようになった。すごい。
ただし左卜全の酔って呂律のまわらない台詞は聞き取りやすくなっていない(オチ)。

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「生きる」はぼくにとっては黒澤映画の中でも別格で、何度も観たのでもう身体に浸みこんでいるはず。
しかし今回観て新たな発見・感動があった。

一つ、一番好きな「ハッピーバーステー」、主人公渡邊がとよとの会話から“生き直す”きっかけを得るシーン。女子学生たちの誕生パーティー前の様子がより明瞭に、歌声がより軽やかになっている。このシーンの迫真力は増した。

二つめと三つめ。
渡邊を夜の世界に連れ出す小説家(伊藤雄之助)と、転機を与えるとよ(小田切みき)の顔貌の描写力が増したことで、この映画の構造と二人の役割の重要性をよりはっきりと感得できた。
特に小田切みきがすごい。生気が横溢するギラギラした目、所作、笑い。演技は粗削りだが、ベテラン志村喬と堂々と渡り合っている。
彼女ほどケーキやお汁粉やすき焼きをうれしそうに食べる女優が、他にいるだろうか。


この映画を「今」観たことには、自分にとって意味があった。

渡邊勘治が、公園予定地の視察で不潔な水たまりに靴が濡れるのも構わず突っ込んでいくシーン。

先週お手伝いした岩泉のお父さんが話してくれたことを思い出したのだ。
こないだ町役場の人間がやってきた、革靴で。水たまりをよけながら歩いてたよ、と。土石流でやられ水道も電気もない場所に不用意な恰好で来たことを怒っていたのだ。「革靴で」と何度も言っていたのを覚えている。

「生きる」は普遍的な物語だが、単なる寓話ではないと思う。いわゆる役人根性を批判しただけのものでもない。
射程はずっと長く、観る度に突き刺さってくる。

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