「白光」「身毒丸 ファイナル」「サムライ 評伝 三船敏郎」「安宅」「ふるさとの伝承/北海道・東北」「髑髏城の七人」(お盆に読んだもの観たもの)

Posted on 2016年8月16日. Filed under: book, Movie |

2016年8月のお盆に読んだもの、観たもののメモ。

「白光」(連城 三紀彦)

少女が殺され、独白などの形で“犯人”が次々現われては覆され、予想し得ない結末に向かっていく。工夫を凝らした語り口はなかなか面白かったが、人物のディテール描写があっさりしているため、頭の中で具体的な人として像を結ぶには弱い感じ。だからあまり思い入れできず、ストーリーに感心するだけになってしまった。
また、「戦地での体験」というのはジョーカーで、ちょっと手垢がついたモチーフという気もした。

「身毒丸 ファイナル」

評価が高いので借りてみた。なるほど藤原竜也はここからだったんだねぇ。そして演劇ってここまで自由なんだなぁ、と。異形のセットや登場人物が多いだけに、画質が残念。より鮮明な映像だったらもっと心動かされたかも。

「サムライ 評伝 三船敏郎」(松田美智子)

三船が出演した映画にまつわるエピソードなどを期待して読んだが、そういった内容と同じぐらいボリュームを占めるのは離婚裁判や三船プロダクションの隆盛、分裂、衰退の話。その点ではちょっと期待外れ。

しかし印象に残ったところも多数あった。
三船は終戦を九州の特攻隊基地で迎えた。上等兵として、まだ大人とはいえない特攻隊員たちを送り出す立場だったという。
終戦後、しばらく横浜・磯子に住んで復興工事の仕事をしていた(磯子から世田谷・砧のスタジオまで歩いて通ったこともあるという)。
俳優になってからは出演者だけでなくスタッフをとても気にかける気遣いの人で有名だった。
「赤ひげ」以降、黒澤作品への出演がないことから噂された黒澤明との不仲説は、近しい人たちは否定している。
50数本も共演をした志村喬との家族同様の付き合い、そして最後の共演となった撮影現場での話。
最晩年、認知症が進んだ三船の元に、かつて泥沼の離婚裁判の末に別居した妻・幸子さんが戻る。しかし三船は妻を見分けられず「おばさん」と呼んだという。

読み終わってしばらくして思うのは、繰り返し強調されるほど気遣いの人だった彼が、なぜ寂しい晩年を迎えなければならなかったか、だ。一つの見方だが、彼は壮年以降「経営者」となり、多くの人が彼との関係にお金や打算を介在させていたからでは…。だから失敗した経営者である彼に、多くの人は冷たかったのでは、などと考えてしまった。青臭いか。

あとがきに筆者が勧める三船のベスト作品がある。このうちぼくが観ているのは「酔いどれ天使」「蜘蛛巣城」だけ。三船は生涯で150本の映画に出たとか。まだまだ楽しめるなぁ!

ちなみに「酔いどれ天使」は、黒澤と三船が組んだ作品の中では(三船の黒澤映画への初出演作だが)最高傑作だと思う。主人公はアウトロー医師を演じる志村喬だが、ヤクザ役の三船が彼を、というか映画全編を食っている。この映画をこれから観る人が羨ましい。

「安宅(能楽名演集 能『安宅』 喜多流 粟谷菊生)」

「安宅(能)」と「勧進帳(歌舞伎)」をちゃんと観てみたいと思っていた。

「笈をおっ取り肩にうちかけ。虎の尾を踏み、毒蛇の口を逃れたる心ちして。陸奥の国へぞ、くだりける。」が、大好きな黒澤映画「虎の尾を踏む男達」の由来なんだと初めて知った。

「NHK ふるさとの伝承/北海道・東北 3」

リンク先は「北海道・東北」が全編入っているものだが、レンタル用はディスク一枚ずつ分割されているらしく、「3」には以下の5本が入っていた。

  1. 神楽が守る里 岩手県早池峰山麓の一年
  2. 早池峰に神が舞う 岩手県大迫町
  3. 桐の里は雪の中 福島県三島町
  4. 党屋が支える祇園祭 福島県田島町
  5. 若者が生まれ変わる山 福島県東和町の幡祭り

東京国立近代美術館フィルムセンターで行われている「ドキュメンタリー作家 羽田澄子」という企画上映のうち、「早池峰の賦」を観たかったのだが、行けなかった。

興味が湧いて調べてみると行き当たったのがこのDVDだ。岩手・大迫町(おおはさままち)の「早池峰神楽(はやちねかぐら)」を記録したドキュメンタリー2本、とてもよかった。
そして同じく収録されていた福島・旧東和町の「木幡の幡祭り」、こみいった成人の儀式がとても面白かった。
ウェブでは隠津島神社のサイトの説明がやや詳しい(が、番組中でも説明されているが、3年かけてやる行事を1年にまとめたり、年々簡素化されているという)。

「髑髏城の七人」

異様に面白かった「歌舞伎NEXT 阿弖流為(アテルイ)」は一体なんだったのか? と色々調べてみて突き当たった源流は、劇団☆新感線の“いのうえ歌舞伎”(脚本はあの中島かずき!)らしかった。で、なかでも傑作らしい「髑髏城の七人」(2011年版)を購入、お盆に観ようと取っておいた。

画面全体から溢れるすごい熱量。180分が60分ぐらいにしか思えない濃密さ。
しかし観終わってかなり疲れた。やはりジャンル越えの面白さだなぁ。これを観ずに死ねるか、って感じだ。

2017年に東京・豊洲にできる劇場のこけら落としで「髑髏城の七人」の新バージョンが上演されるらしい。(観られるかどうかわからないが)とても楽しみだ。

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