読書メモ「ビジネスをつくる仕事」 Key: 川の真ん中・船の端, 失敗の隣に成功, 偶然を取り込む, かつて強く今は薄いネットワーク…

Posted on 2016年6月17日. Filed under: book | タグ: , |

ビジネスをつくる仕事」(小林 敬幸)、面白かったので読後のメモです(思い出し用)。

川の真ん中・船の端を狙う

「どの業界、分野においても、独自の特殊な視点や商習慣があるものだ。長年その業界にいるとそれが当たり前になってしまうが、世の中全体から見ると、なんとも特殊で非合理的なものがある。そういうものを新しいビジネスの機会と捉える。その業界の中では、端っこだけれども、社会全体で見ると実は、むしろ真ん中にあるビジネスをやってみる。自分の周囲からは「変」に見られるが、外から見ると「普通」のものをする。たとえると、船の端っこだけれども、実は、その船が浮かぶ川の真ん中のような場所、つまり「川の真ん中・船の端」を狙うのである」

ビジネスをやるときは船(業界)の端だが川(世の中)の真ん中を狙え。

成功事例より失敗事例によく学べ

「敗者に寄り添った敗因の分析をしたほうが実りが多い。そういう状況なら、もしかしたら自分も同じ判断をしてしまったかもしれない、と思いながら聞いたほうが、より多くの教訓を得られるものである。  そういう意味で、社内や同業界の人など、自分と同じような立場の人がした失敗というのは、自分の身に置き換えてよく聞くと、新しいビジネスにつながることが多い。概して、誰かが失敗したビジネスのそのすぐ隣の近い分野には、いいビジネスを立ち上げるチャンスが転がっているものだ。その人が目を付けたのだから、もともと成功のチャンスはあったのだろうが、少し何かがずれていただけなのだろう。その敗因をよく分析して、一部修正して近いところで挑戦すれば、何もないところから挑戦するよりもずいぶんと成功確率が上がる。失敗の隣に成功がある」

成功事例より失敗事例の方が教材として重要。成功の隣に同じような成功はないが、失敗の隣には成功が潜んでいることが多いから。
そして後段では、「時代の変化への対応が上手な組織は、自らの成功体験、失敗体験を、常にいまの時代の状況から見直し、修正し、上手に活かしている」とも言っている。

斜めに補助線を引く

「現代において新規ビジネスをつくるにはどうすればいいのだろうか。「昭和的な方法」と対照となるような成熟社会に有効な手法の一つをここで提示しておこう。(…)現代では、ある分野の会社がすべて成長することはまれで、各分野の勝ち組は、上位一~二社だけである。そのそれぞれの分野の勝ち組の勝因をまずよく観察する。そのうえで、分野は違えども、成功している企業の共通点は何であるかと自分なりに仮説を置いて考えてみる。いわば斜めに補助線を引くような感覚である。そうしていくつかの補助線を持っておく。そうしてから、別のまだ世にない新しい分野、あるいは、誰も成功者がいない不毛の分野に、その成功の共通点を当てはめられないかと考える。あるいは、異なる産業分野の境界線上で、その補助線の延長がぶつかるあたりに着眼点を見出すのである。そして、有望と思われるところを、ピンポイントでまっすぐ狙っていく。斜めに見てまっすぐやるのである」

「斜めに補助線を引く」とは、ある業界での上位企業の勝因を読み解いて抽象化し、別の業界などへの適用可能性を考えるといったことだろう。

筆者が立ち上げに関わったライフネット生命の場合、「サービスのメディア化」という成熟社会での成功パターンの認識、「通販ビジネス(全般ではなく、継続販売など)の成功要因」について知見(補助線)があった。そこへ知人から電話で「ネットの生命保険」の話が来たので、あらかじめ持っていた二つの補助線に適合する事業だと直観することができたという。

ネットワークについての考察

ビジネスを生み出すネットワークについての考察、二つ。

「経営学では、強い結びつきをいうソーシャルキャピタルと、ウィークタイ(弱い結びつき)の創造に対する寄与の議論があるが、実体感では、この二つが組み合わさったネットワーク、すなわち、昔の強い結びつきが、その後薄く広がったようなネットワークが最も創造的に感じられる」

ソーシャルネットワーク論でよく言われる単なる“弱い紐帯”ではなく、“学生時代の親友関係などが、年月が経つにつれて薄まりながらも続いているような交友関係”が、ビジネスの創造において役割を果たすということか。なんとなくわかる。

「最近の経営学で注目されている「ストラクチュアル・ホール」という概念も、似た発想に基づいている。蜘蛛の巣のように多くの人がつながっているネットワークの構造を分析すると、ネットワークのつながり方に密な部分と疎の部分がある。ネットワーク内部に密につながっているグループが複数あり、そのグループとグループの間の連絡ルートが少なく、疎になっているところもできる。その疎の部分がストラクチュアル・ホールである。そしてこのなかなかつながっていない二つの価値体系をつなぐ人こそがビジネスに成功するという発想だ。多くのマネージャーの人脈を分析し、あまり接点のない二つのグループにつながっているマネージャーほど、実績をあげているというような研究もある」

人のつながり方にはバラつきがあり、疎らな部分を行き来して架橋できる人が創造においては強いということ。

偶然を排除せず取りこめ

「私自身の方法としては、あるビジネスを無理やり立ち上げるというよりも、基本的には、そのビジネスが持つ固有の生命力を信じて、その生命力をよりよく発揮できるようにしていくというほうが好きである。従って、そのビジネスの生命力をよく見て、育ち方を読み、正念場のときにだけぐいっと力を入れ、あとは、そのビジネスが本来持っている生命力をうまく発揮できるようにサポートするほうがうまくいく」

低成長であり予見可能性が低い成熟社会では、偶然をうまく利用する「創発的戦略」が効く。1960年代にホンダがオートバイ販売でアメリカ進出した際は、「合理的になりすぎないように注意し、東京ですべてを解決できるとは考えず、現地現場で学」ぶようにして成功した。

最終的にどうあがるか決め打ちせず、複数の成功可能性を維持する「メンタンピン戦略」という表現も出てくる。

成熟社会でのビジネスの生き残り方

「今後の成熟化する社会では、企業とビジネスマンは、社会からのメッセージに耳を澄まして聞き取る能力が必要となっている。さらに、その社会の声とニーズに反応してまた次に質のよいメッセージを発するという、社会との対話をする能力と対話の質が問われるであろう。社会との対話能力は、会社の存続のために絶対必要であり、かつそれは、その会社の本源的価値にもつながっている」

まず聞き取ることに注力し、そこを起点として質のよい対話をすることが必要。

「企業、政治組織、NPOなど様々の組織がソーシャルと名の付くものに殺到している。しかし、多くは、従来のマスメディアと投書欄とアンケート調査を組み合わせたものの域を出ない。一言で言うと、最初からマスへのアピールを意識しすぎているので、よくできたソーシャルにならないのだ。最初は、じっくりと少数のコミュニティと双方向の深い交流をもたなければならない」

しかし対話においては最初から大多数を相手にしようと構えるな。少数のコミュニティーとの「深い交流」から始めるべき。

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