「世界で最もイノベーティブな洗剤会社 メソッド革命」メモ(Key:ライトグリーンとダークグリーン, 逆さまの顧客ピラミッド, 短針に従え, 美意識の時代)

Posted on 2014年5月7日. Filed under: 未分類 | タグ: , |

「世界で最もイノベーティブな洗剤会社 メソッド革命」(エリック・ライアン, アダム・ローリー)の読後メモ。

メソッド(本国サイト methodhome.com 日本サイト methodhome.jp)の2人の創業者エリック・ライアン(Eric Ryan)とアダム・ローリー(Adam Lowry)が書いた本。同社は極力環境負荷の少ない成分を使ったクリーニング製品を、香水瓶のようなデザイン性の高いボトルに詰めて売っているメーカー。大手企業の安売り製品がシェアの過半を占めていた市場に穴を明け、飛躍的に成長を遂げている企業だ。(TBD:ここに後日メソッドがどんな企業なのか詳細説明を入れるかも。)

本書では、メソッド社のビジネスの要は「『ライトグリーン』な殻(気さくで親しみやすい魅力)をまとった『ダークグリーン』なビジネス(厳格な環境保護の原則)」だと説明されている。

顧客の徹底的な理解(「僕ら(企業)が知っていることはすべて、あなたから学んだ」「あなたがすでに獲得した支持者については、あなたより詳しい者はいない」)を重んじるブランド構築と敏速なイノベーションが強みで、People Against Dirtyという顧客オーガナイズの仕組みもある(が、書籍内で突っ込んだ説明がなかったのが残念)。

以下、8つのポイントに絞って引用とメモ(順番は必ずしも本の記述通りではない)。

商機はどこにあったか 市場はそのときどうだったか

「無から有を生みだすよりも、成熟してマンネリ化した産業を探し当て、そこに風穴を開けるほうがはるかに簡単だと気づいたのだ」

この「成熟してマンネリ化した産業」は、「60分間・企業ダントツ化プロジェクト」(神田昌典)の「とぼけた市場」とほぼ同じだろう(同著には、この市場の選び方について「愚者は俺ならできると考える。賢者は愚者でもできることをやる」という警句が載っている)。

エリックとアダムという異なる個性が出会うことで、「二つのカルチャーシフトに完全に乗り遅れた、成熟した大きな分野をついに探し当てたのだ。デザイン性と品質を融合させれば、洗剤業界に革命を起こし、人々の掃除や洗濯に対する意識そのものを変えられるかもしれない」と考えた。

当時は一握りの崇高なメーカーが、環境保護の気運と消費者の犠牲に支えられて、出来映えがいまひとつの商品を供給しているだけだった。僕らに言わせれば、洗剤を買うのは街でデートするのに選択肢が二つしかないようなものだった。いわゆるプロを雇うか(うしろめたさは残るだろうけど確実だ)、お堅いお嬢様をとるか(そして道徳という名のもとに禁欲を受け入れる)。正直、どちらも最悪だ」

彼らのインサイトはこうだった。クリーニング用品の大手企業は自らの製品を「使ったらシンクの下に放り込み、つぎの掃除まで忘れ去る単純かつ実用的な問題解決策」としてしか売っていない。しかし──。

「ほとんどのコマーシャルは、掃除をどうしようもなく面倒なことのように取り上げ、自社の商品を使えばそれが快適で簡単になると叫んでいる。エプロン姿のメイドが笑顔で掃除をする演出で、まるで自分の身の回りの手入れをするのは恥ずかしいことで、できれば他人に任せたいことですよねと主婦層に訴えかける。最初に問題を設定して(お風呂にカビ発生!)、問題解決の特効薬として商品を提示する(バン! カビは消滅!)という、典型的な問題解決型マーケティングだ。このアプローチの欠点は、消費者に何かしらの問題を経験させようとするため、関心の低い領域から抜けだせなくなることだ。だが、掃除にまったく喜びを感じない人でさえ、掃除の結果きれいになった住まいは大好きなはずだ。そこでメソッドは、誰もが大好きな掃除終了後の状態に注目し、多くの人々にとって掃除は生活の重要な一部であることを発見した

メソッドが製品に帯びさせたデザイン性は「メソッドのトロイの木馬効果」をもたらした。

「売り場では来店客の注意を引くためにボトルを広告として使うのが定石だから、ボトルは必然的に幅広で平たい表面に大きくて派手なラベルを貼り付けたものが主流になる。人間工学(ボトルの使い勝手)と美意識(店頭ではなくキッチンカウンターでの見栄え)はつねに「副次的設計基準」とされてきた。僕らのボトルは美しさが際立ち、人間工学的に革新的だった。しかも、ラベルも声高に消費者の注意を喚起する1950年代風の派手なものとは異なり、香水の瓶のラベルのようだ。商品名もジョイとかカスケードとかサンライトといった、商品のイメージを訴求するものではなく、ただすっきりと「メソッド・ディッシュ・ソープ」。 型破りなボトルと独創的な香り、ミニマリズムのラベルに惹きつけられ、思わず買ってくれる客が現れた。売上こそ少なかったが、アーリーアダプターの反応は励みになった。サンフランシスコのオフィスには手紙が届くようになる。100パーセント天然素材のシャンプーを販売する予定はありませんか? 無害な洗濯洗剤のラインを展開してみては? 消費者はわが社のスタイルに魅了され、中身にも夢中になったのだ」

そして市場が変わり、メソッドの参入に刺激された大手企業が重い腰を上げ、デザイン性や天然素材を売りにしたラインを市場に投入しはじめる。彼らは「ようやくこのとき、ビジネスを通して社会を変革する、という自分たちの使命と信念が波及効果をもたらしたことを肌で感じた」と語っている。

メソッドのカルチャー(企業文化)について

他の経営書との類似点も多いが、一企業の実践において証明済みだという重要性に鑑みまとめておく。

  • かつてないほど企業の透明性が重視される時代。それには真実味こそが重要で、その核にあるもの、社員と顧客とメディアの結合エネルギーの源となるものが、カルチャーだ
  •  力強いカルチャーは究極の競争優位の源となる。企業秘密やベストプラクティスは盗まれるだろうが、カルチャーを形づくる多くの要素(風変わりな職場環境や、独創的な組織、社員どうしの人間関係など)が織り合わされた「特別な何か」を模倣することはできないから
  • 「風変わり」といっても、ただはめを外したり、奇抜なことをしたりすることではない。「ビジネスの世界で重要なのは、楽しいことを自分を差別化する手段として利用すること」。
  • 企業文化に内在するパラドックス。多くの企業が努力してよいカルチャーを手に入れようとするが、最良のカルチャーは努力を要しない
  • メソッド独自のカルチャーを支える価値観とは、「模倣ではなくイノベーション」「コラボレーション、コラボレーション、またコラボレーション」、そしてそれを後追しする流儀は「イエス、アンド」の姿勢(「イエス、バット」ではない)。社内の協調関係にまつわる悩みを解消し、固定観念に囚われないアイディアを生みだすきっかけになる

「メソッドでは半年に一度、カルチャーと各自の役割について、スタッフの「本音」調査を実施している。代表的な供述内容(五点満点で答える)は、「毎日出勤するのが楽しみだ」、「メソッドが素晴らしいことをすると信じている」、「上司と良好な関係にある」などだ。つぎの月曜日の朝会で調査結果を発表し、どうしたらスコアを改善できるかを全員で考える。何かほころびが見られるとき、たとえば、ある部門でコラボレーションができていないというコメントがあったり、昇進や活躍の機会についての不満の声があがったときは、それを「鏡に映し出して」検討する。どうやるかというと、コメントをスライドに映し出して(もちろん、回答者の名前は伏せる)、僕らが一方的に回答するのではなく、チームのメンバー全員に問題を投げかけるのだ。このプロセスはもやもやを吹き飛ばし、カルチャーの成功が全員の肩にかかっていることを再認識するのに役立っている」

問題を「鏡に映し出して」というのは、問題への解答を誰かが専権で出すのではなく、共有し皆で解決にあたるという意味でいいプラクティスだろう。

敏捷性の意味:なんのために、どこまで速くするか

スピード(を上げるべきかどうか)について、興味深い考察がある。

「チャンスを先に延ばすことはできるか。あるいはいますぐ行動すべきか。いまの僕たちなら、「時間をかけすぎるのと急ぎすぎるのとでは、どちらが事業により大きな悪影響を与えるだろうか」と自問する。ここで確固たる判断基準をもつことが大事だ」

「Jクルーの普遍的なスタイルと、H&Mのようにイノベーションを推進してトレンドの先端を走るスタイルのあいだのどこかに、僕らが敏捷性と呼ぶ最適解がある。(…) 僕たちが敏捷性を発揮した決断のほとんどは、ブランディング(忍耐)とオペレーションの効率化(スピード)のあいだでせめぎ合う判断だった

  • メソッドは、製品開発の初期段階で自前で市場調査を行い、消費者動向に精通する。ただしその結果は「水晶占いよりバックミラーに近い」。消費者はすでに好きであるものを評価するから。トレンドやカルチャーの変化を見つけるのはあなたの仕事だ。それが見つかったら、アクセルを踏み込め
  • プロトタイピングでアイディアを具体化すると、関係者全員の意欲が高まり、次のステップに進むために必要なフィードバックが得られる。つまり意思決定を迅速に進めるカギになる
  • ベータテストの究極の目的は、一つの失敗を教訓として次のテストに活かし、最終的に勝利をめざすこと。「いわば、一度に15メートずつボールを打って、合わせて一本のホームランを飛ばす」こと

短針に従うこと。長針を追いかけてはいけない」(Lucky Brand Jeans創業者の言葉)

スピードや敏捷性は、流行の仕掛け人になったり、真っ先に流行に飛びついたりすることとは無縁なのだ。素早くズバ抜けるとは、着実に前進することである。そのために必要なのは揺るぎない視点だ。それさえあれば迷うことなく迅速に、一貫性をもって、分刻み、一日単位あるいは年単位の意思決定ができる。矛盾して聞こえるかもしれないが、本当のスピードとは、時間を超越したものなのである

購入メディア(Paid Media)と獲得メディア(Earned Media)

個人的にはこの領域でのメソッド社の施策をちゃんと読みたかったが、大きな潮流のみ説明されている。

  • 購入メディアは本来的に、「予測可能な数の消費者の邪魔をする特権(「その前にコマーシャルをどうぞ!」)を得るために、料金の支払いを必要とするあらゆるマーケティング形態」である。その一部は今も、楽しく、独創的で、示唆に富んだ作品だ。つまり購入メディアの内容が悪いのではなく、どのように提供され、消費されるかというコンテクストに問題がある
  • 過去50年間、成功した企業は、ブランドと組織を購入メディア(特にマスメディア)を活用する宣伝手法に最適化していた。その手法は「最大の消費者カテゴリーに照準を絞り、もっとも広範かつ単純な属性、言い換えれば最大の消費者にアピールする最大公約数に基づいて自社のブランドを位置づける」こと。だからこそ今、「マスブランドの運命はマスメディアの運命に依存している」
  • 今日、消費者はブランドに対して受け身ではなく、自分が関わりたいと思うブランドを選び、能動的に参加するようになった。これは消費行動とブランドビジネスのあり方の大転換(「ビッグ・シフト」)を意味する

ビッグ・シフトにより、競争優位の決定要因は豊富な広告予算から、共感を呼ぶ社会的使命に移り変わっている。人は広告を目に止めて記憶に残すかもしれないが、偉大な社会的使命に共感したとき、それを広め、互いに結びつく。そして、あなたの考えを広告予算では届けられないところまで届けてくれる。 したがって、獲得メディアとソーシャルメディアの世界で成功したければ、顧客に語りかける発想から、支持者の共感を呼ぶという発想に転換すべきだ」

  • 獲得メディアは、新聞・雑誌の記事掲載、ソーシャルメディア、ブログ、YouTube動画など、企業にとって費用が発生しないメディアのすべて。これは、人々が他人と分かち合いたい、参加したいと願うものを提供することで得られる
  • 企業が既存の市場に挑戦するためには、社会的変革を提唱し、支持者を獲得することが必須条件となる。支持者のフィードバックは速く率直であるため、企業は一段と革新的になれる。「支持者」という呼び方は顧客の呼び方を変えて響きをよくしただけのものではない

「マーケターにとっては非常に難しい時代だ。なぜなら、旧式のメディアツールの効率性が失われているとはいっても、依然としてそれは高い予測可能性をもって大衆に訴えかける最善の方法であると認めざるを得ないからだ。メソッドでも、存在感を増している獲得メディアの活用に努めているが、ブランドの認知度を飛躍的に高めることを目指し、今年の広告宣伝費は過去最高額を見込んでいる。 二つのメディアに挟まれながら、大きな変化の時代を生き抜く唯一の方法は、あらゆる形態の購入メディアが獲得メディアに後光効果を与えるように仕掛けることだ

ブランドと社会的使命のアピール

  • 既存のブランドは「公約」(“いつでもお得”)を述べ、「哲学」(“生活をよりよくするお手伝い”)を持たない。布教型の公約によってできた消費者との関係に奥深さはない。よって「マスメディア時代に構築された既存のブランドの多くは、消費者が親密な絆をもつことのできる何かを提供していない」
  • (たとえば)地味な分野で注目されるブランドを構築するには、問題を提示するのでなく望ましい最終状態を提案し、それを社会的使命でくるむこと。「社会的使命がなぜ重要かというと、人が幸福になるには、自分より大きなものの一部になることが重要な前提条件だからだ」

支持者の共感を呼ぶという僕らのこだわりが目指すのは、顧客ピラミッドをさかさまにすることだ。つまり、メソッドの本当の支持者である熱狂的なまでに信頼を寄せてくれる顧客を最大のグループに成長させ、底辺を占める関心の低い顧客層を縮小する。するとどうなるか。少ない顧客(小さな市場シェア)が、より多くの商品を購入することになる(大きな顧客シェア)。ピラミッドをさかさまにする発想は少数派の顧客層を相手にすることにほかならないから、多くの経営者は尻込みする。しかし、マスメディアの影響力が低下した世界では、対象顧客を絞り込み、効率的なマーケティング・モデルを構築するしか道はない。いまや、ニッチ市場こそリッチな場所なのだ」

  • 自社について語る従来の広告「キャンペーン」でなく、支持者について語るの「ムーブメント」をめざしなさい。強い情熱に駆り立てられた少数の人々を対象とすることから始め、当事者意識やアイデンティティーを共有していく。キャンペーンは終わってしまうが、ムーブメントに終わりはない。ムーブメントでは、あなたと支持者の共通の敵を設定するアプローチ(「モンスターを探せ」)が効果的だ。

ライトグリーン(≒利己主義)とダークグリーン(≒利他主義)

従来型の環境保護運動は、人々に変化を求めながら、その人々を叱りつけてきた。気を滅入らせ、非難するようなことばかり言う。かれこれ30年もそんなやり方を続けて、うまくいかないのは当然だ。誤解しないでもらいたいが、地球環境はきわめて深刻な状況にある。いますぐに手を打たなければならない。選択肢は二つ。どっかりと腰を下ろして問題を分析し、枝葉末節を延々と議論するか、みんなで一緒に重い腰を上げて「とにかく何かを始めるか」。僕らは後者を選んだ

  • 「とにかく何かを始める」とは、ある改善案を採れば環境への影響を10ポイント改善するが、消費者がそれを恰好悪いと感じ買わない可能性が高ければ、わかりやすく楽しくなるような8ポイント改善の代替案を検討するということ

「イノベーションが真に革新的であるためには、それが人々の役に立っていなければならない。それも、少数ではなく多くの人々の役に立つべきだ。グリーン革命の担い手を自負する僕らにとって、画期的な新製品が少数の恵まれた人々の手にしか届かないという話を聞くのが何よりも腹立たしい。それはイノベーションと呼ぶに値しない局所的な事象にすぎない。端的にいえば、革新的な技術や創造性ではなく、人々に受け入れられることこそがイノベーションの成立要件なのだ

  • 消費者がその製品を使いたいと思い、実際に多くの消費者が使わない限り変化を起こすことはできない。だから「消費者が関わり、主導権を握ることで生まれるイノベーションの連鎖はまさに理想的だ。サステナブルな未来への着実な歩みは、こうした小さな一歩の積み重ねなのだ」
  • メソッドがグリーンな企業であると知らず、可愛いボトルに惹かれて選ぶ消費者に不満を感じることはないか? 「もちろん、消費者が僕らの大きな使命に共感してくれるに越したことはないが、地球はその違いを気にしない
  • メソッドは、「『ライトグリーン』な殻(気さくで親しみやすい魅力)をまとった『ダークグリーン』なビジネス(厳格な環境保護の原則)」を追求している
  • 「日頃から道徳的に立派な人もたくさんいる。しかし、人間がひしめき合って暮らす小さな惑星を救うには、それだけではとうてい足りない」。多くの人は、正しいことだと説き伏せることでグリーンになる動機づけを与えることはできない。だからアームチェアの革命家よ、訴える順番は、まず世界を救えではなく、「自分を救おう。世界を救おう」だ

「社会的使命を推進するブランドは、その使命を個人的で身近なレベルで捉え直してみる必要がある。それは、「私にはどんなメリットがあるの?」という消費者の質問に答えることを意味する。人が深い愛情を寄せているもの(家族や友人、ペット、大好きな場所など)に目を向けよう。もし、あなたの使命が人々の生活とかけ離れているなら、そのままでは人々の行動を変えることは難しい。問題が壮大であるほど、それを人間の大きさに合わせて細分化すべきだろう。たとえば、氷河が消滅するとか、ホッキョクグマが暮らす場所がなくなるといった問題は、気候変動を心から気にかけている少数派以外にとっては遠い世界の話だが、なじみ深い地元のビーチが危機に瀕しているとなれば、地域住民は団結して行動を起こすに違いない」

そしてそれは、ビジネスでこそ推進することができる。

アダムは、変化を起こすには、政策よりもビジネスのほうが優れた手段だと気づいた。なぜなら、ビジネスはより多くの人々と日々関わり合い、(皮肉にも)より民主的だからだ

感情、デザイン、そしてブランド

祖父母の世代が大量生産の時代にしのぎを削り、両親の世代が情報化の時代に競争していたなら、今日の起業家は美意識の時代を生きている

  • 感情的な特性で差別化できているブランドは、そうでないブランドに比べ60パーセントも高いロイヤルティを得る。「優れた品質とサービスを融合して、特別な消費者とあなたが共有する「価値観」に結びつけることが、感情面で他を寄せつけないブランド体験を届けるためのもっとも効果的なアプローチだ」

「ほとんどのクリーナーには、きれいだと感じられる要素はまるでない。クリーナーを使うときの感覚的体験といったら、使用中は息を止め、終わったらしばらくその場から避難し、最後にはひどく不格好な容器を棚にしまい込むといったものだ。清潔さに関わる文化史のどこかで、消費者は悲鳴をあげるようでなければ効果がないと信じ込まされるようになった。いったいそれのどこがきれいなのか。僕らは、美的感覚に訴えるきれいなデザインと、本当にきれいと感じられる成分と、まわりを魅力的な香りで包むフレグランス(漂白剤のようなにおいではなく)を融合して、新しい感覚的体験を生みだした

  • デザインは、人の感情に働きかけ、感覚を刺激し、一瞬で印象を決める。つまり、インパクトと即効性を同時にもたらす数少ないビジネスツールだ。コモディティー(ありふれたもの)を、記憶に残る特別な商品体験に高める力を秘めている
  • デザインには世界をよい方向へ導く力がある。しかしそれは、よいことのために使う意図がある場合に限られる

ビジネスか慈善事業(ノンプロフィット)か

同じ社会的企業であるパタゴニアとの違いを述べている一節は、「社員をサーフィンに行かせよう」(イヴォン・シュイナード)に強い影響を受けたぼくにとっては興味深い。引用しておこう。

「サステナブルなビジネスのパイオニア、パタゴニアの例を引き合いにだそう。創業者イヴォン・シュイナードは、僕らのような起業家にとってまさにヒーローだ。彼は環境と社会の利益と会社の収益を徹底して一致させるビジネスを築いてきた。パタゴニアが環境のためにしていることの半分でもできたら上出来だと思う。だが、僕らの視点は少し違う。パタゴニアは営利活動から得た利益を非営利団体に移転するという意味で、僕らが「搾取して寄付する」と呼ぶモデルに立脚している。価値のある営みだが、ビジネスは元来搾取的であるから利益の一部はビジネスの外に還元すべきだという基本思想は好きにはなれない。企業の目的が社会にベネフィットをもたらすことであり、それが進歩につながるのであれば、獲得した利益は成長とイノベーションのために再投資し、そこに関わる「人々」が時間と労力を使って地域活動に参加するほうが理に適っているというのが僕らの思想だ

メソッドのやり方は、ガンジーの「世界に変化を望むなら、あなたが身をもって示しなさい」という言葉にある通り、営利活動から得た利益を自らの活動外に移すのではなく、ほとんどを会社に再度還元し、社員の力を高めることでその活動の力を高めることだという。

パタゴニア以上に自社のビジネスの価値への自信(と、より価値ある状態への志向)に基づく判断だが、どちらがより正しいとはいえないだろう、と感じた。

最後にもう一度書籍へのリンクを張っておく。

「世界で最もイノベーティブな洗剤会社 メソッド革命」(エリック・ライアン, アダム・ローリー)

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