南相馬市小高区でお手伝い 「お金はいらないから孫と住みたい」というSさんの話(援人 0426便)

Posted on 2013年4月28日. Filed under: 未分類 | タグ: , |

ボランティアチーム援人0426便、2013年4月27日(土)の南相馬市小高区でのお手伝いの記録。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

夜通し東北道を走り、二本松インターを下り、浜通りへ向かう。
そして早朝、道の駅南相馬に着いた。晴れ。ただ上空は風が相当強いのか、雲がどんどん流れていった。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

道の駅の広い駐車場は6~7割ぐらい埋まっていた。ボランティア活動者が車中泊したり、深夜に着いて休んだりしていることも多く、いつもの光景だ。復興工事に携わる車両が出入りしていたりもする。

この日はゴールデンウィーク初日だ。深夜に立ち寄ってきたSAやPAは、どこもレジャーに繰り出す車たち──ワンボックスやキャンピングカーなどで満車で、新たにSAに入ってくる車は停車場所を探してぐるぐると徘徊していた。

この南相馬も、早く行楽シーズンに観光に訪れる人たちの車で活気づくようになればいいなと思う。

小高区へと向かう。国道六号線沿い、瓦礫の小山が点在するあたりに生える草も、ちょっと前までの茶色から青々とした色に変わってきた。いよいよまた、雑草と格闘するシーズンの再来か…。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

小高ボラセン(南相馬市ボランティア活動センター)に到着。柏、練馬、千葉、川崎、神戸など遠くから多くの個人車が到着していた。さらに大型バス2台、中型バスが2台入ってくる。この日の活動者は200人近くいたと思う(後でセンターのブログを見ると「206名」とあった)。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

朝礼に、久々に南相馬市社会福祉協議会の門馬会長が登場、ボランティア活動者数人に感謝状が授与された。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

受け取るとき感無量という表情をしている人もいて、朝から目頭が熱くなる。無報酬が基本のボランティアだが、こういう風に労っていただけるのはうれしいと思う。

ぼくらの今日のお手伝い先は、センターから南西、小高区西町の個人のお宅と決まった。高校生のお孫さんもいるという女性Sさんからの依頼だ。

Sさんは現在、原町の借り上げ住宅にご主人と住む(小高にある家よりかなり狭いそうだ)。原発事故の後、Sさんの娘さん世帯は福島市に避難。お子さんは福島の高校に編入でき、福島で新生活がはじまっている。ただ、小高の娘さんの家は震災後ほぼそのままだったので、お母さんであるSさんがボラセンに片付けを頼んだという。

Sさんの依頼に従い、男性チームは主に大きなもの(タンス、冷蔵庫、洗濯機、学習机、家電など)を外に出し、女性陣はSさんについて衣類、書類、台所に残ったこまごましたものを分別していき、要らないものをトンパックに詰めていく。

後で気づいたのだが、Sさんはこの家の片付けに一人で何度も通っていたらしく、捨てる小物類はかなり整理されていた(ので、捨てるお手伝いという点ではスピーディーに進めることができた。一方、大切そうなものを見つけ「これ残されませんか?」と聞いても、首を縦には振ることは少なかった)。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

家財を出しトンパックに詰める作業は引っ越し作業のような達成感もあるが、やればやるほどものさびしい思いが募ってくる。小高のお宅では、まだ十分使えるものを(仮住まいは狭いから、立ち入り制限されている間に新しいものを買ってしまったから…などの理由で)どんどん捨てざるを得ない。

ある収納家具に色褪せた紙がセロテープで貼りつけてあった。お孫さんが小学生のときの答案用紙らしく、90点だった。いいんですか?と聞くと、Sさんはちょっと顔を曇らせて、いいから、と言われた。

お昼。ほぼ片付いた一階の縁側に面した部屋をお借りし、Sさんを囲む車座になって皆で弁当を食べる。Sさんは、原発事故からこれまでのさまざまなこと、そして震災以前の小高の生活の素晴らしさについても、時に涙ぐみながら話をされた。

小高に何度も足を運び、起こったことを理解しているつもりだが、目の前の人から

「原発さえなければね。本当に原発はダメだよね」
「あのときはガソリンがなくなるまで逃げた。会津の方まで逃げたの」
「お金はいらないから孫と住みたい」

といった言葉を聞くと、不意に心をぐらぐら揺らされるような思いがする。

震災前、Sさんは販売関連の仕事をされ、プライドを持ち数字を上げるために努力する、張りのある毎日だった。が、震災後は狭い家にいるのは気づまりで、かといって外に出る気にもなかなかならないという。気がかりだ…。

Sさんの段取りがよかったため、捨てるもののトンパック詰めは早く終わり、その後は庭の雑草刈りや、伸び放題だった生垣の手入れなどをした。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

この日のお手伝い中、近所のシニア女性が様子を覗きに来た。数軒隣のお宅で、避難先の福島市から車でさっき来たという。ボランティアを頼めるのか、頼むといつ来てくれるのかと質問されたので、センターの仕組みなどを教え、「今日ぼくらは15時までいますので、軽い作業ならお手伝いできますよ」というと、水タンク運びを頼まれた。

車から降ろしたタンクを持って、庭を回って玄関へ。庭の木は伸び切り、植木鉢が多数散乱している。タンクを運び入れる際に玄関から家の中を見ると、まだ何も手つかずといった状態だった。

女性は「何からやればいいか途方に暮れちゃって…」とつぶやいた。

まだまだお手伝いをする先はある。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

この日コンビニで買った福島民報に、4月26日、環境省が南相馬市小高区の国直轄除染を担う事業者の公募をスタートした、という小さな記事があった。対象は金谷、大田和、川房、神山の四行政区の住宅、道路、農地、森林などで、8月に除染開始予定。今回の地域以外の発注は未定だという。

小高の人たちが町に戻れるようになるためには、電気、ガス、水道などのインフラの復旧と共に除染が重要だ(ここではぼくは、そもそも除染の意義は──といった議論には与しない。小高に戻りたいという人たちをもう何人も見てきたからだ)。しかしこの進み行きでは、控えめに見てもあと2~3年はかかるだろう。
それまでの間、災害ボランティアができることもなくならないだろう。周りに「まだ行ってるの?」と言われるぐらい続けよう、と改めて思った。

帰路の二本松に向かう道路沿い、今は人がほぼいない飯舘村。満開をやや過ぎた桜の淡いピンク色が、目を楽しませてくれた。

南相馬小高区でお手伝い(援人 2013年4月26日) Volunteer at Minamisoma, Fukushima. Affrected by the Tsunami of Japan Earthquake and Fukushima Daiichi nuclear plant accident.

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