アクセシビリティ(#a11y):ビデオやスマートフォンの情報保障に関わる「21世紀における通信と映像アクセシビリティに関する2010年法」について調べた

Posted on 2011年5月4日. Filed under: 未分類 | タグ: , |

今日Google Readerを読んでいてYahoo! Accessibilityの記事についてこんなTweetをした。

この記事に興味を持ったので、抄訳しつつ”21st Century Communications and Video Accessibility Act(CVAA)“についてちょっと調べてみる。

“I want my MTV! Now, how do I find that channel…?” | Yahoo! Accessibility
http://yaccessibilityblog.com/wp/i-want-my-mtv.html

以下、この記事の要約。

  • CVAAは、ウェブ、携帯のブラウザー、デジタル電話機器(?)のクローズトキャプション、テレビ放送、ケーブルテレビの映像についての要件を定めている。衛星テレビ、ケーブルテレビのセットトップボックスを全盲や何らかの視覚障害を持つ人が操作可能にするための要件や、画面上のメニュー、番組ガイドは、クローズトキャプション用のシンプルなインタフェースを持つべき。また、視聴者に追加料金を課すことなく実現すべきである
  • FCC内にThe Video Programming Accessibility Advisory Committee (VPAAC)が設立され、諮問の役割を担っている
  • セットトップボックスについては、National Center for Accessible Media (NCAM)のディレクターが代表を務めるワーキンググループを作り、オープンソースの“トーキングセットトップボックス”のプロトタイプについて研究などしている。このセットトップボックスは、先行してイギリスのRoyal National Institute of the Blind (RNIB)が作ったもの
  • 数年以内に、視覚障害のあるTV利用者は、トーキングセットトップボックスやテレビ本体、その他の機器を使って自由にMTVや他の番組を楽しむことができるだろう

次に、記事中の”21st Century Communications and Video Accessibility Act (CVAA:21世紀の通信と映像アクセシビリティ法)“について調べる。
この法律は、2010年10月に議会を通過し成立したらしい。なお、オバマ大統領がこの法律に署名をしたとき、FCC議長らと並んでスティービー・ワンダーもホワイトハウスで臨席していたとか。

President Obama Signs the 21st Century Communications and Video Accessibility Act
http://newsbreaks.infotoday.com/NewsBreaks/President-Obama-Signs-the-st-Century-Communications-and-Video-Accessibility-Act-70569.asp

以下、この法律についてメモ、というかほぼ超訳(あくまで超訳です。おかしいなと思ったら原文を見てください)。


1990年に制定されたThe Americans With Disabilities Act (ADA)は、障害を持つ人の社会参加の可能性を大きく広げ、通信産業では、テレビにはクローズトキャプション(字幕)が、電話には音声保障(補聴機能?)が付くことになった。

しかし技術は進歩し、通信やビデオはVoIP、ネットストリーミング、3G通信のスマートフォンなどが登場し、キャッチアップが必要になってきた。そこで2009年にThe Communications and Video Accessibility Actが制定された。
固定電話向けだった音声保障は、携帯電話、スマートフォン、IP電話にも拡張された。が、Skype通話で使われるヘッドセットなどは想定されなかった。法理上電話と同等の機能を持つので適用されるかもしれないが。

新CVAAでは、高度な通信サービスにおけるアクセシビリティ要件の適用を、ユーザーが使う機器やネットワーク機器、ソフトウェア、通信サービスの製造者・提供者にまで拡げた。新法では、製造者・提供者は「もし実現可能なら(if achievable)」製品やサービスで障害者ユーザーが使う機器との互換性を保たなければならない。特に対象とされているのは、携帯電話向けのブラウザーとメールソフトであり、視覚障害を持つ人にとってアクセシブルでなければならない。

製造者・サービス提供者は、アクセシビリティが「達成可能(achievable)」状態でない場合、それ以前に「妥当な(reasonable)」レベルの投資や努力をしたことを証明する必要がある。新法は特定のハードウェアやソフトウェアの実装について規定せず、またユーザーの費用が「通常(nominal)」範囲に収まるのならサードパーティー(の機器など)による解決も認めている。

新法の2つめの要点は、ビデオコンテンツについてのもの。テレビ番組はすでに20年に渡ってクローズトキャプション(字幕)を提供しているが、セットトップボックス経由のオンデマンド番組、ダウンロードのレンタルビデオ、インターネットのストリーミング放送などを含むビデオプログラムについても複数の方法でこれが実現されることになる。

新法では、字幕とビデオ説明(video description)という2つの方法を定めている。字幕はお馴染みだが、ビデオ説明はやや複雑だ。映像に対する音声フィードには、会話だけでなく映像上の状況説明も含まれる。FCCはかつてビデオ説明について要件を定めていたが、2002年、法廷はFCCにその要件を定める拘束力はないと無効を言い渡した。
新法は、この点でのFCCの権威を再定義し、来る数年間でテレビネットワークに対してビデオ説明文の提供能力と量を増やすことを要求した。この要件はインターネットを通じて提供されるビデオにも拡張されることになる。字幕もインターネット番組にも適用され、テレビ向けに制作されインターネット上でも配信される番組、または典型的なテレビ番組型の(generally comparable to)コンテンツなどが対象となるだろう。インターネット専用の番組も含まれるが、YouTube上のCGM型ビデオなどには要求されないかもしれない。

スマートフォンやIPストリーミング番組用のセットトップボックスなど、ビデオ再生機能を持つあらゆる機器が、字幕とビデオ説明の機能を持つことが要件となる。

また新法には、緊急情報のアクセシビリティ保障のための規定や、ケーブル放送・衛星放送の番組ガイドやメニューへのアクセスについて、ろう者と健聴者のコミュニケーションのためのTTY(テレタイプライター)とインターネット中継サービスについての規定は拡張された。

CVAAの実施(Implementing:細則決めのこと?)はFCCの管轄で行われるが、新法は手続きやタイムラインを定めている。結果として、細則の草案が作られ、製造者やサービス提供者が法律に適合する実装を行い、施行に至るには数年がかかるだろう。

新法は、議会への定期的な進捗報告と、FCCに勧告を出すための諮問委員会を求めている。

ここら辺で力尽きたので、あとはいくつかのリンク紹介を。

CVAAの本体はFCCサイトにあるみたい(ちゃんと読んでない)。

Communications and Video Accessibility Act (CVAA)
http://www.fcc.gov/cgb/dro/cvaa.html

Adobe Accessibilityにある要約。

President Obama Signs Accessibility Act ≪ Adobe Accessibility
http://blogs.adobe.com/accessibility/2010/10/president-obama-signs-accessibility-act.html

CVAAの細則化を巡って、2011年5月5日にもVPAAC(前述)が会合を開くというニュースがあるなど、着々と進んでいる様子。

21st CVAA Implementation: Video Programming Accessibility Committee to Meet May 5 at FCC | Coalition of Organizations for Accessible Technology
http://www.coataccess.org/node/9991

このニュースが載っているCOATという団体も興味深い(Facebookグループがあったので、早速参加してみた)。

…と、ここまで超訳しておいてアレだけど、日本語訳ありました。(ガクッ

21世紀における通信と映像アクセシビリティに関する2010年法(S.3304)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/it/S3304.html

こうしてちょっと調べてみただけでも、改めてアメリカはアクセシビリティ実現の法制も、公の機関も、ノンプロフィット機関もいろいろと厚いなぁ、という印象だ。当事者はもちろん支援者など、いろんな人たちが闘ってきた結果なんだろうなぁ。

こういうの、日本でもきちんと実現していかないと。

Liked it here?
Why not try sites on the blogroll...

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。