震災はぶちまけた、日本のウェブのさまざまなボロを(だれコンイベント「災害情報とアクセシビリティ」から)

Posted on 2011年4月26日. Filed under: 未分類 |

昨夜はこのイベントの裏方だった。

緊急講座 4月25日開催「災害情報とアクセシビリティ」:だれもが使えるウェブコンクール
http://daremoga.jp/event/seminar110425.html

Togetter – 「『緊急講座「災害情報とアクセシビリティ』」
http://togetter.com/li/128000
(Ustream参加された方がまとめてくれたTweetのログ)

人は、数10km地下を震源とする地震や、遠く離れた海からやってくる津波などの天災について、ごく近くにやってくるまで知覚することはできない。だからメディアに頼る。まして、匂いもしない、触ることもできない放射能について、1日どれくらいの量に晒されればどうなるのか、そんな専門知識を持っている人は成人でもほとんどいない(正確には、いなかった。3.11以前までは)。だから専門家の見識に頼る。

3.11震災を、眼や耳などに障害をもつ人たちがどう過ごしたのか?
登壇した人たちの話を聴きながら、「晴眼者(視力がある人)」であり「健聴者(耳が聞こえる人)」である自分でさえ右往左往した毎日に重ね合わせながら考える瞬間が何度かあった。

震災後、障害者たちが頼りにしたテレビでは、重要な情報の記者会見に途中からようやく手話がつき、一方ネットには、紙をスキャンしただけの(マシンリーダブルでない)PDFファイルや、晴眼者しか見ることができないマップなど、「情報の障壁」事象が溢れた。

震災時、障害者たちが陥った状況について、聴覚障害者である平林さん(ライムミルク)が話されたエピソード。
宮城の避難所にいた聴覚障害者の人の話。
食べ物を配るため「人数を確認するので全員並んでください」と呼びかけが(声で)あった。
そこにいた4人の聴覚障害者たちは聞こえないので意味を理解できず、代表として1人だけが並んだ。
ケーキを1つだけもらって、彼ら4人で分け合って食べた。

再びウェブの話。
多くの人の情報アクセスが期待されるウェブを、リテラシーやガイドラインを持たない人が作ってしまうことそれらをカバーしない制作ツールやCMSが現役であること。この震災で、日本のウェブは発展途上の状態を、有り体にいえば「ボロ」を沢山さらけ出した。

WCAG(W3Cが定めたコンテンツについてのアクセシビリティ規格)やアクセシビリティJIS、つまりコンテンツの問題だけでなく、ATAG(制作ツールについての規格)やUAAG(ユーザーエージェントについての規格)の問題でもある。

この事実を見ても、意外さはない。
平時にアクセシブルでないウェブが溢れていたのだから、非常時に背伸びできるわけがなかった。

IBM飯塚さんの話で、印象に残ったもの。
新潟や宮城の地震の際、アクセシビリティの関係者は公的サイト、企業などのサイトがどう情報を出すかをモニターした。今回も、国内で売上高が高い企業70社のサイトが何をやるかとモニターしていた。震災の翌日に「お見舞い申し上げます」といったメッセージを掲載したサイトは、(定量的なデータはないが)普段からアクセシビリティなどウェブの品質基準を守っている企業のものが多かった

普段から「ステークホルダーは誰か」を考え抜き制作部門にまで浸透させていた企業と、そうでない企業の違いか。

平時には細く長く続いている不具合や不満が、非常時に噴出した。ウェブ以外でもそうだろう。
311以後をちゃんと生きるなら、改めてちゃんと取り組んでいくこと。

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ITはITのために一人歩きさせるのではなく、アナログのなかで生活しているぼくたちにこそ、その根拠を、その理由をおくべきだと考えています。
そうでなければW原発とそれを享受している人間との関係と同じものになってしまう。それが残念です。


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