「無印のイスラエル出店反対キャンペーンは無印に反対したのでなく守ったのではないか」とか(「STOP!! 無印良品 in 東京」報告集会)

Posted on 2010年12月19日. Filed under: 未分類 | タグ: , , , , , |

おととい(2010年12月17日)、こんな集まりに参加してきた(会場だったPARCには講座で何度も通ったのに、小川町でなく神保町で降りてしまい10分ほど遅刻しつつ)。

STOP!! 無印良品 in 東京: 12月17日(金)「STOPしたよ!!無印良品」報告集会を開催します
http://stopmujit.blogspot.com/2010/12/1217-stop.html

Stop無印良品キャンペーン:アパルトヘイト国家イスラエル出店に反対します」のサイトでこの件を知って以来、無印良品を止めることにはわりと強い意義を感じていた。が、パレスチナ問題については数冊の本とネットで得た知識ぐらいしかなく、Twitterでつぶやくときなどは毎回少々の勇気が必要だった。そんなわけでこの会への参加の敷居は高かったんだけど、Twitter上でリスペクトしていた印鑰(いんやく)さん(@tomo_nada)、さらにイルコモンズさん(「イルコモンズのふた。」)の名前までクレジットされていたので行ってみた。

STOPしたよ!! 無印良品

以下、皆さんの話で印象的だったところを中心に。

「STOP!! 無印良品 in 東京 実行委員会」小池さんのお話

本日(2010年12月17日)、良品計画にあらかじめ質問状を提出の上で申し入れに行ってきた
実行委から4人、良品計画から4人が出席し、1時間ほど話し合いを行った

回答は主に「(今回の中止決定は)あくまで総合的な経営判断。具体的な理由を挙げるのは難しい」などはっきりしないものが多いが、注目すべき回答もあった

「イスラエル出店に反対運動が起こるとは予想しなかったのか」に対しては「消費者の皆様から反対の声が上がる可能性というのは、正直なところ検討していませんでした
消費者の方々の意見も拝見して、大変勉強になりました。今後のビジネスの参考にも、していきたいと思います
詳細な情報については、知りませんでした。私達の事業は、普通の人に使っていたけるものを広めていくということなので、それによってどんな影響が出るかという点については今回勉強になりました

今後、無印側に方針変更などまた動きがあるかもしれないが、単純な対決姿勢にはしていきたくない
今回の運動は、企業との対決以外の関係構築を行える可能性もある、と勉強になった

(Q&Aの時間には、小池さんからこんなお話も)
署名サイトに、良品計画からのアクセスがよくあった
他にも企業系は広告代理店、銀行、建設業…などのドメインから来ていた
企業ドメインからのアクセスがあると太字になって気づきやすい仕掛けを印鑰さんが作ってくれた

印鑰智哉さん:ウェブアクションの振り返り

(印鑰さんは東京の署名アクションのウェブサイト周りを担当)

東京では11月15日に署名サイトをオープンし集めはじめたので、稼働期間は2週間しかなかった
よしやるそ、と思ったら終わってしまった感じがする
スタート後、波状的なエスカレーションについて3段階のプランを考えていたが、第2段階に至る前に終わってしまった

今の世の中は、市民の直接参加による合意形成が必要な時代だ
バラバラになっている個人を結びつけるにはインターネットはすごいツール。が、まだ使いこなせていない

署名サイトを立ち上げ後、サーバーに張り付いていた。
ウェブ上の反応も気になった。「こわい」という反応も当然あった
しかし主張内容は当たり前のこと。たとえば道ばたで何分か話しこめば、大抵納得してもらえること
つまり、今回主張したことは少数派だとは思っていない。潜在的には多数派であるはず

しかし本来は多数派であるべき人たちが孤立している
市民一人ひとりがバラバラ。無力感や諦めに苛まれているのではないか
インターネットはそんな人をエンパワーできるはず

インターネットを使うとアクティビズムはもっと弾みがつくが、日本ではなかなか使われてこなかった
アルゼンチン、オンラインのキャンペーンで100万人以上が動いた
ブラジル、腐敗している政治家を追い出すことができた。オンラインとリアルが結びついて反汚職法が成立した
一方で南米のネット普及率は日本の1/3ぐらいである

今回、署名は日英合わせて300弱。TwitterのRTが280(捉えられてないのも合わせると500ぐらいだろう)
残念だな、と思う

なぜもっと大きくできなかったか
ぼくたちの声はまだまだ届いてない。せいぜい1万~3万ぐらいか。5%ぐらいが参加してくれるはず
まだ信頼関係がない。署名サイトにメールアドレスを入れて大丈夫かな、と躊躇もあるだろう
ただし、変えられると思う
1つ、現実を変えようという意思。そして「この指とまれ」と言い出すイニシアティブを発揮すること
2つ、目的に向けて継続する意思を持つこと

来年はこういったオンラインアクションセンターを3つはつくろうと考えている。
3つあれば多様性もあるし、潰されるのにも耐えられると思うので

役重さん(パレスチナ情報センター):今回のアクションの経緯・振り返り

(役重さんは大阪からSkypeで参加)

大阪では5月ごろから中止を求めるキャンペーンをはじめ、細々と…という感じだった

9月に店舗前での第1回の抗議行動を行い、お客さんに署名を書いてもらって店舗に届けた
ウェブに掲載したり、海外のBDSキャンペーンサイトに紹介してもらうなどよい反応があったのは面白かった

ネットアクティビズムだけでなくオフライン、人間の動きが見える直接行動が加わって勢いが出たと思っている

STOP無印良品キャンペーンのサイトを立ち上げ、デザインをちゃんとしたものにしFAQを掲載したりしたことが、各地の運動の支え・励ましになったという印象がある

ひとつのグループだけでやっていると息切れがしてしまうが、東京が10月に立ち上がり、それが弾みとなって大阪でもがんばろうか、となった

イスラエル側は、今回の動きをかなり気にしているだろう
たとえば、イスラエルに近い「ミルトス」が出している雑誌では今回の運動の細部まで描写して批判している
また、イスラエル大使館が日本でも10月からTwitter(@IsraelinJapan)をはじめた。フォロワーはまだまだ少ないが。危機感を覚えたのか?
イスラエルは、国際的に広がっているBDSキャンペーンに対して国がかりで対応を考えているのではないか

イルコモンズさん:今回の感想やウェブとアクティビズムについて

まずはおめでとうございます、と言いたい
良品計画側は「このキャンペーンで」とは言ってないが、このキャンペーンが企業を変えたんだと思っている

この情報を知ったのはパレスチナ情報センターのサイトから。11月、オンラインで署名をした

自分はオンラインよりストリートアクション派。12月12日には同時多発行動をやろうと考えていた
実際に有楽町でも行動があったが、新宿でもやった
(Projectional Intifada at MUJI, Shinjuku, Tokyo: boycottil)

署名について。自分の作風として普段はキツいことを書くのだが、今回はこういう風に書いた
「イスラエルに出店するならガザにも出店をしてください」と

それはウェブサイトのつくりなどによる。丁寧さ、センスよさを感じたから。
主張も大上段に構えたものでなく、普通の言葉で書かれていた

私はグラフィックデザインをやるが、今回に関しては自分が出ない方がいいと思った。私がやると過激になってしまうから

出店中止表明のタイミングについて。
もっと大きな運動になればよかったという考え方もあるが…

今回、無印を誰が止めたのか?
実行委員の中にも無印良品の愛用者がいると聞いた。ぼく自身も80年代からかなり使っている
通常こういう運動は、かなり早い時点で企業を悪者にしてしまうが(歯止めが効いた?)

もしかするとこのキャンペーンは、無印に反対したのでなく守ったのではないか

無印良品は、ぼくらが思っている以上に政治的にウブなのかもしれない
今日の回答でも「反対されるとは思っていなかった」と言っているように
この会社は、環境には熱心でも政治情勢などにはかなり疎いのではないか

この2年ぐらい、渋谷の宮下公園のNIKEパーク化に反対してきた
が、結果は渋谷区が行政代執行でホームレスのテントなどを撤去した

ナイキの件と今回の無印の件、何が違うんだろうかと考え続けなきゃいけない
反対運動をする側に企業のカスタマーがいるか、企業を大切に思うか

成功した理由のひとつには「運動がカスタマーの好感を得た」というのがあったのでは
通常、カスタマーは好きな企業を悪くいわれるのを快くは思わない
運動では必要以上に無印を悪く言わなかった。対決姿勢を取らなかった

オンラインアクションについて。Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアを使ったアクションが社会を変えるんでは、という期待が世間にはある

しかし限界を指摘する人も。マルコム・グラッドウェルの最近の指摘など
(参考:TwitterやFacebookからガチなアクティビズムは生まれない?)
ウェブ署名やオンラインの意見表明は現場での活動と違ってリスクを負うことがない。連帯感が生まれにくい
「オフラインでやりたくないときにやるものだ」という指摘だ

私は、オンラインの運動はグラッドウェルがいうほど無力だとは思っていない
が、オンラインでやることで「やった気持になってしまう」、それで終わってしまうことは問題だ
あえて署名をしないことで「署名をやらなかったのだから何かをしなければいけない」と自分に課すこともある

「オンラインかオフラインか」ではなく「オンラインもオフラインも」だろう

このキャンペーンが成功したことは大げさに喜んだ方がいい。こういう運動は負け続きが当たり前だから
この運動はいい前例になると思う。ウェブサイトもぜひずっと残してほしい

無印がまたやるかもしれない。そのときにはひとつの「防波堤」になると思う

質疑応答タイム

Q:ボイコット運動が行きすぎてしまえば、イスラエルがやっていることと同じになってしまうのでは?
A(印鑰さん):現実問題、とてもそこまではいけないだろう。また、パレスチナの人自身がイスラエルをボイコットしてほしいと訴えている。イスラエルへの圧力でパレスチナがさらに貧困になったとしても、BDSキャンペーンを世界的にやってほしいと訴えている
A(役重さん):BDS(ボイコット、投資の中止、経済制裁)キャンペーンの目標は明確だ。この条件が達成されたらやめる、が決まっている。獲得目標を明確に示すことは日本においても重要。運動が単にイスラエルや協力企業を敵視するものであってはダメだろう

Q:キャンペーンへの一般の方からの反応で印象的だったものは?
A(小池さん):「無印の商品のこれが好きです」「こういう風に商品と付き合ってきた」などの具体的な声が多かったこと

Q:なぜ日本では企業に対する市民の活動が弱いのでしょうか。
A(イルコモンズさん):ぼくも知りたいぐらいで、答えがあればとっくにやっている。今回、相手を見ながらやっていかなきゃいけないな、と学んだ。運動が広く好感を得ない限り、離れていく人もいるし成功しないだろう

Q:今回は無印だからうまくいった? 他の企業だったらどうだった?
A():何をやってもダメな企業はあると思う。たとえばエッソ、モンサント。向こうは確信犯で市民の声は関係ない。そういった企業にどう対峙していくのか。BPの例だが、どんどんアクションをやっていくと「あそこに就職したくないや」という雰囲気が広がってしまう。それほど追い詰めるぐらい長期間に渡ってやっていけば届くこともあると思う

Q:今後のイスラエルに対するBDSの展望は?
A(役重さん):日本に、イスラエルに経済的関わりを持っている企業は沢山ある。AHAVA(アハバ)、日産…。今回学んだことは、1つに絞ること。同時に2つやったらエネルギーは半分になってしまう。可能な限りいろんな連携プレイで1つの企業に対して集中的に、が重要なのでは。AHAVAについては、獲得目標をどう設定するかだと思う

以下、感想とメモを少し。

イルコモンズさんの「このキャンペーンは、無印を守ったのではないか」という話は、ハッとした。総括として重要なものだと思った。
ぼくは無印のイスラエル出店が中止された日、「無印良品がイスラエル出店を中止! でTwitterに溢れたのは「無印が好き!」「また買える!」って声だった」という記事を書いたけど、本当はここまで考えてみるべきだったのかも、と思った。たどり着くだけの勇気というか精神的脚力みたいなものが足りなかったのだ。

グラフィックデザイナーの女性の方の感想で「カルチャー・ジャミング」という言葉を知った。なるほど、今回のキャンペーンのサイトはそういう見方もできるのか(無印側は、当然かなり怒っているらしいが)。

今回の件からの学びはあともうちょっとあり、改めて書きます。

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一連の行動に、どんな意味があったのでしょうか?
イスラエル(だけ)が全称肯定的に悪だと言い切る事は私には出来ません。
パレスチナゲリラは正義ですか?
アメリカに正義はありますか? ロシアは? 中国は? 韓国は? いやいや、日本は?

それともう一つ、無印良品という会社・ブランドを特別視している人たちがいる事も驚きです。

通りすがりさんへ
(お名前から見ても、この記事をまたご覧になる可能性はたぶん低そうですが)

「イスラエルだけが悪だとはいえない。パレスチナにもアメリカにも(略)正義はない」と主張されるあなたは、ガザの非人道的抑圧のような行為は問題だと思われますか、思われませんか?
また、この問題に対して一般市民ができるもっといい行動プランのアイディアをお持ちですか? もしあればぜひ教えてください。

[…] 「無印のイスラエル出店反対キャンペーンは無印に反対したのでなく守ったのではないか」とか(「STOP!! 無印良品 in 東京」報告集会) (via du pope : NAKANO Hajime’s Blog) 投稿日: 12月 20, 2010 投稿者: faithoflove01 おととい(2010年12月17日)、こんな集まりに参加してきた(会場だったPARCには講座で何度も通ったのに、小川町でなく神保町で降りてしまい10分ほど遅刻しつつ)。 STOP!! 無印良品 in 東京: 12月17日(金)「STOPしたよ!!無印良品」報告集会を開催します http://stopmujit.blogspot.com/2010/12/1217-stop.html 「Stop無印良品キャンペーン:アパルトヘイト国家イスラエル出店に反対します」のサイトでこの件を知って以来、無印良品を止めることにはわりと強い意義を感じていた。が、パレスチナ問題については数冊の本とネットで得た知識ぐらいしかなく、Twitterでつぶやくときなどは毎回少々の勇気が必要だった。そんなわけでこの会への参加の敷居は高かったんだけど、Twitter上でリスペクトしていた印鑰(いんやく)さん(@tomo_nada)、さらにイルコモンズさん(「イルコモンズのふた。」)の名前までクレジットされていたので行ってみ … Read More […]

随分、時間が経ってしまいましたが。

>ガザの非人道的抑圧のような行為は問題だと思われますか、思われませんか?
ユダヤ人がこれまでどのような迫害を受けてきたとしても、逆の立場に立つ事が許されるとは勿論、思いません。

>一般市民ができるもっといい行動プランのアイディアをお持ちですか?
いいえ。
これといったリスクもなく、短期間で達成感を得られるという意味で、これ以上、手頃なものは無いと思います。
ただ、そこに何の意味があるのかを、疑問に思っただけです。

そして私には、芸能人のファンが「あんな碌でもない相手と結婚したら、もう応援しない」と抗議の手紙を送りつけるのと、同じに見えました。


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