らくらくホンV:シニアや目が不自由な人には、そんなに楽々ではないかも(ハーモニー・アイ交流会)

Posted on 2008年11月11日. Filed under: アクセシビリティー | タグ: , , |

2008年11月9日(日曜日)、「ハーモニー・アイ」さんの「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」に参加させていただいた。以下そのレポートです。

ユーザーの生の声を届ける!ハーモニーblog: イベント参加者募集!「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」
http://harmony-blog.sblo.jp/article/21932259.html

この交流会では、NTTドコモの「らくらくホンV(ファイブ)」「らくらくホン プレミアム」の視覚障害者や高齢者にとっての使いやすさをテストするために、実際の利用シーンを想定して使ってみるという試みをやった。タスクは以下のようなもの。

  • 基本機能編:ワンプッシュで開くボタン、サイドにある音量調整ボタン、基本設定からの音声オン/オフ、画面の書体や背景色の変更といった機能を試す
  • 利用シーン編:iメニューから「NHK放送博物館」を検索し、最寄り駅を調べる。さらにiアプリの「地図アプリ」を使って、現在地(四谷三丁目)から博物館の最寄り駅までの電車ルートを調べる

試したのは、視覚障害者が3人(うち弱視の方1人)、高齢者が4人。
高齢者にも視覚障害者にもらくらくホン(旧機種)を使っている人はいて、ただしらくらくホンVなどを触ったのは皆さん初めて。その点を差し引くとしても、テストを通じて、視覚障害者はもちろん、らくらくホンがターゲットとしているシニアにとっても使いづらそうな点がいくつも挙がることになった。

以下、「らくらくホン固有の問題」「らくらくホンに限らない問題」に分けてインプレッションをまとめる。テストを手伝いながら走り書き程度に書いたメモを元にしているので、網羅的な内容ではない点に注意を。

らくらくホン固有のインプレッション

  • 文字の見やすさの調整のため文字と背景色を反転させる設定があるが、反転時に時計の文字は白フチ文字になっていた。これは弱視の人にはとても見づらいようだ
  • 音声読み上げは、視覚障害者はもちろんだが、視力が落ちてきたシニアや弱視の人にとっても便利な補助機能だ。が、そういう人たちがこの機能を使う際に戸惑っていた点がある。表示されているメニュー名と読み上げられるメニュー名が微妙に違うのだ。読み上げられる方が長く親切というわけでもないようだった。このせいで、目で追っているものと読み上げられているメニュー名が合致させづらく、つまり現在地が掴みづらいので操作に戸惑ってしまう(この点、操作のサポートをしていたぼくでも迷った)
  • らくらくホンの旧機種とは十字キー周りの配置が変わっているものがあるらしい。らくらくホンIII(スリー)を持っているという視覚障害者は、実際に戸惑っていた。視覚障害者は、機種変更の際こういう変更を自力で知り得るのだろうか? (らくらくホンの主ターゲットは視覚障害者ではないことはわかっているが) ダメだとしたら周りの健常者がサポートするしかない?
  • ハーモニー・アイ「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」

  • カメラ機能を虫眼鏡代わりに使える「拡大鏡」という機能がある。これはシニアには好評だった
  • 全タスクを通じて、特に音声読み上げを補助的に使うシニアの方にとっては、音声のオン/オフ設定がメニューの深いところにあり、一時停止などの機能もないのは使いづらそうだった
  • 画面の明るさの設定も同様。すべて「基本設定」というメニュー内にあるのだが、階層が深すぎる

らくらくホンに限らないインプレッション

  • 今回、特にシニアの操作を見ていて痛感したのは、「iメニュー」「iアプリ」といった提供者都合のメニュー名がわかりづらいこと。高齢者は、「iメニュー」「iアプリ」という名称からどんな機能やサービスかを想像することはできなかった。覚えるのも思い出すのも大変だろう。らくらくホンがシニア向けだというなら、せめてこれらの名称を単に「メニュー」「便利ソフト」などと平易に言い換えたりすることはできないんだろうか?
  • iメニューを開いて行き先を検索してみるというタスクで、表示されたiメニューの画面がスクロールできることがわからないシニアの方がいた。この問題とも関連するが、そもそもこのページの検索窓は長い画面の最下部にあって使いづらい
  • iメニューから「NHK放送博物館」を検索してみるが、そこで表示される検索結果がかなりわかりづらい
    • 最終的な検索結果にたどり着くのに3ステップもかかる! 最初に表示される検索結果の下の方に「iタウンページ」の検索結果へのリンクがあり、iタウンページのリスト表示に行き、そこでNHK放送博物館をクリックするとようやく目当てのページに行けるのだ
    • そうまでしてたどり着いたページなのに、「最寄駅」情報がない。外部サイトの地図表示に連携しているが、ユーザーは地図を見て駅を探さなければならないのだろうか? 土地勘のない場所だったらとても苦労するはずだ
  • ハーモニー・アイ「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」

  • iメニューの検索結果は、音声読み上げの面でも問題が多いことがわかった
    • まず、検索結果の一番上には「『NHK放送博物館』を検索」とある。これはページIDみたいなものだ。普通、PCの読み上げプラウザにはリンクは別の声色で読み上げる機能があって、らくらくホンもそうなっている。視覚障害者の方は当然それを知っているが、まぎらわしい言葉づかいのせいでこれをリンクかと思ってしまうのだ。なぜ「『NHK放送博物館』の検索結果」としないのだろう?
    • 肝心の検索結果は末尾にあるが、上述の通りNHK放送博物館のページに行くにはもう2クリックしなければならない。が、その結果ページへのリンクの直後にNHK放送博物館を例示として含む説明文があるので、それをクリックするものかと戸惑っていた。わざわざパケットを使って説明文を出すぐらいなら、なぜここにリンクそのものを出さないの?

    ハーモニー・アイ「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」

  • この後、NHK放送博物館の最寄り駅(日比谷線 神谷町駅)がわかったものとして、iアプリの「地図アプリ」を起動してルートを調べてみるというタスクに。音声入力で駅名が入力できるのはなかなか好評だったが、それ以降のアプリの使い勝手は概ね残念な結果になった
    • 駅名の音声入力は、「慣れれば使いやすい」と好評
    • 検索結果の表示についての疑問。2本以上の路線を乗り継ぐ必要がある場合、結果は2行に分かれ、かつ長い文は「…」で省略されてしまうが、なぜそうする必要があるの?
    • 音声読み上げ面での課題。らくらくホンはユーザーのカーソル移動に追随して選択された行を読み上げるが、無意味な空行があるとそこで読み上げが止まる。ユーザーもそこで待ってしまう!
    • 「霞ヶ関」を「かすぜき(?)」と読み上げた。iアプリとらくらくホンの連携がうまくいっていない? 地名ぐらいしっかり読んでほしい
    • ハーモニー・アイ「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」

テスト結果の最後に、ちょっと余談。

「使いやすい」という評判を聞いてらくらくホンに乗り換えたというシニア女性の意見。NTTドコモから届く販促メールに画面のように「緑色の背景に白抜き文字」という装飾があるが、これがとても見づらい! と強調されていた。

ハーモニー・アイ「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」

この件でわざわざドコモショップに出向いて聞いてみたが、メールの修飾がそうなっているので仕方ないと言われたそうだ。

この後、携帯で得た情報を元にNHK放送博物館へ移動。最寄駅から博物館へも携帯の道案内などを試すはずだったが、雨が降り出してしまい、ほとんど使わずに歩いた。

NHK放送博物館では、予約などなしの訪問にも関わらず、元アナウンサーだという館員の方が展示物についての解説を、目が見えない人も考慮しつつとても流麗にしてくださった。素晴らしい対応だと思う。

以下、交流会の感想。

らくらくホンは視覚障害者にも評判がいいと聞いていただけに、今回の結果は意外で残念。主顧客であるシニア向けとしても改善の余地は沢山あるんじゃないかと思う。一部は使いやすいが全体としては使いづらい、とちぐはぐさが感じられるのだ。

この日は人数が少なかったためもあり、シニアや目の不自由な人と沢山触れ合うことができたことはうれしかった。ウェブ屋として、自分たちが作るコンテンツのユーザーはこんな人たちでもあるのだという発見・驚きは、何度してもし過ぎるものではないと思う。

蛇足。

こないだ東京都現代美術館に行ったら、目が不自由な人たちを案内しながら展示物を説明してあげるボランティア(?)の一群がいた。現代美術をどう説明するんだろうとしばらく聞き耳を立てていたけど、なかなか苦労している様子だった。今回ぼくはNHK放送博物館で、同じように昔のラジオや、テレビや、テレビカメラの形状について説明してあげたが、こんな具体的なモノでさえなかなか説明するのは難しい。

こういうの、「セカイカメラ(sekaicamera)」みたいなアプリと組み合わせてソーシャルソフトウェア的に解決できないかなぁ、と思う。
その分野に詳しい解説ボランティアの人が展示物の前に立ち、携帯に向かって説明を録音する。後日、同じ場所に目の不自由な人が場所に立つと携帯からボランティアの解説が流れる仕掛け、とか。博物館でも美術館でも名所旧跡でも、仕組みさえ作ればボトムアップ的に解説コンテンツをどんどん増やしていけるはずだけどなぁ、なんて思う。

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