「プロフィット・ピラミッド」メモ(上):キーエンス、ローム、ファナックが高収益である理由

Posted on 2008年10月16日. Filed under: Company | タグ: , |

プロフィット・ピラミッド 「超」高収益経営を実現する十四のシンプルな原則」を(2.5回ぐらい)読んだので、以下、メモがてらシェア。

この本は、キーエンスロームファナックシマノヒロセ電機マブチモーターという、企業経営に興味がある人なら高収益企業として名前ぐらいは聞いたことがあるはずの6社を分析した本。出版は2007年5月だが、たとえばキーエンスの分析に使っている資料は2004年ぐらいまでのものだから、各企業の現在の姿そのままではなさそうな点には注意が必要だろう。

以下、気になった点のメモ。

  • キーエンス 合理主義の経営
    • キーエンスの経営の特徴のひとつはファブレス経営
    • 経営理念にある「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」の通り、既にある製品のコスト削減でなく、「コストを掛けずに顧客提供価値を最大化できる製品をつくる」ことを考える
    • 「センサーは、単価が安く、脇役的存在であるにもかかわらず、それを組み込むだけで、顧客生産設備全体の能力が大きく高まる「投資の梃子の効果」を生み出す商品なのです。その上、その効果は生産性という定量化された数値で表現され、そのため投資効果が明確で、顧客に直接的にアピールするという特性を持っています。このため、そのコストに対し、キーエンスは高い価値を設定することができるのです。」
    • キーエンスの営業マンの業績は粗利(の近似値)で決まるので、営業マンは高利益率実現に寄与する顧客ニーズの掘り起こしに積極的に取り組む
    • 顧客をひたすら訪問するのでなく、勉強会での商品知識の蓄積→自ら考え提案する→顧客の反応を感じる、というプロセスで顧客の現場を熟知する
    • ファブレス体制だが、生産ノウハウを保持し製造委託先を効果的に活用するためにも、全体の生産の一割は100%の生産子会社で行う
    • 合理性追求の文化。会議でも入室した順に座る。会長が最後なら、会長が一番ドアに近い下座に座る
  • ローム 垂直統合による付加価値の取り込みを徹底する企業
    • ロームのカスタムICの顧客はセットメーカー。なかでもライトハウス・カスタマー(業界最先端の製品開発を行う顧客)から先端ニーズを学び、製品に精通していく
    • ICメーカーの多くはセットメーカーの社内または系列。情報開示のリスクを恐れるメーカーは、中立的メーカーであるロームに声をかけやすい
    • ロームの「鵜飼いモデル」は、金鉱掘りにジーンズを売ったリーバイスのモデルの発展形。顧客の回路設計図全体にローム製品が占める割合が多いので、ロームは「実質的に」川下展開をしているのと同じで、そこでの付加価値を自社内に取り込んでしまう。自社の商品を売りながら顧客のノウハウを吸収し、自社の次の展開に活用するという点は、鵜飼いが魚を獲得しつつ、自身でより高度な技術を学習していくことと同じ
    • 顧客に言われてから開発をはじめるのでは遅いが、「このタイはあの奥さんに食べていただこう」という精神をもつ
    • 製品寿命の短期化により川上化をめざす。関連する業界の価値連鎖を横軸に、その業界の平均利益率を縦軸にプロットすると、描かれる曲線はスマイルカーブになる
  • ファナック 巧妙な戦略と精強な組織を併せ持つ企業
    • 自社のNC装置の仕様の業界標準化により、顧客の付加価値を自社内の取り込むという鵜飼モデルを実現
    • 自らリスクをとって先端製品開発を行うライトハウス・カスタマーは、サプライヤーにとって他社に先行する上でありがたい存在
    • 徹底したコスト管理。ます意欲的な価格設定をし、そこから利益率35%を引き、算定された製造原価を必達目標とする。製造コストを積み上げるという発想はない
    • 製造段階でいくら工夫してもコスト削減余地はわずか。コストを大幅に下げようと思えば、開発において徹底した工夫をすべきである
    • 商品開発研究所には、普通の10倍のスピードで進む時計を掛けてある
    • 捨てる経営。35%の利益率を確保できない商品からは撤退。新たに利益率35%が確保できる商品を開発する

残りは後編に続く。

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