「『地域猫』のすすめ」を読んで考えた、野生動物ではない野良猫を地域を巻き込みつつ飼うということ(エコピ勉強会)

Posted on 2008年2月28日. Filed under: cat | タグ: , , , |

昨日は、WebSigエコ&ピースの勉強会。
アツいWeb屋が12人も集まって弊社会議室は満杯、レジュメを用意したのに半分ちょっとしか消化できない盛り上がりでした。

ぼくは、

という本についてミニ発表をしたので、ちょっとシェアしておきます。

この本の著者の黒沢泰さんは横浜市の職員。彼は横浜市磯子区(ちなみにぼくは磯子区で生まれ育ったのでかなり親近感を覚えました)の保健所にいた際に、地域のノラ猫トラブルの解決のための「磯子区猫の飼育ガイドライン」策定の中心となり、その中で生まれたのが「地域猫」という概念・用語だそうです(平成12年には流行語大賞にもノミネートされたとか)。

地域猫とは、この「『地域猫』のすすめ」によれば以下のようなもの。

ノラ猫を不妊去勢手術の徹底、エサの管理、フンの清掃、周辺美化など地域のルールに基づいて適切に飼育管理し、ノラ猫の数を今以上に増やさないで一代限りの生をまっとうさせることで周辺住民の認知が得られた猫のこと

」(p6)

実は地域猫という言葉の広がりと共に、この「エサの管理」や「フンの清掃」などを実践せずに地域猫活動を称する人が地域と軋轢を起こすケースもあるようで(きちんと導入したいという人向けに、この本の後半は「『地域猫』実施マニュアル」という実践的な内容になっています)、それがAmazonのこの本のレビューの一つにあるような、

結局は公共のものである公園を勝手に私物化して、
猫の放し飼いを楽しむための活動でしょう。

猫真理教信者の独善行為です。
猫など全く関心のない人や、猫で迷惑している被害者にまで野良猫を押し付けつつ、
一切の責任を放棄する横暴行為です。

野良猫の被害を被らされる住人として、受け入れられる訳がありません。

といった批判を生んでしまうのでしょう。

ぼくはかなりの猫好きです。ただちょっと堅いことを言うなら、行政が予算を投じ、公共スペースを使っての猫の共同飼育を推進するのなら、そこにはやはり公益性がなければならないと思います。その辺も含め地域猫の生い立ちや経緯が知りたいという問題意識を持ってこの本を読み進めました。

この本で学べたこと、共鳴できたことは以下のような点です。

  • ノラ猫が発生した原因はそもそも人間だ。また、(これはこの本でなく、勉強会で同テーマで発表したTさんのまとめからだけど)猫は野生動物でなく「家畜」。「動物愛護及び管理に関する法律」で守られている。ならば、簡単に処分する(命を絶つ)という選択をする前に「守るべきだ」「いなくなってしまえ」派の妥協点を見出せないか努力をすべきである
  • 調査してみると「猫が大好き」という人は2割、「大嫌い」という人も2割。残る6割は関心がない人。つまり多数派の人たちは自分の生活が侵されない限り、地域猫のような活動を受け入れる(「2・2・6の法則」)
  • 猫をめぐるトラブルには、「地域コミュニティ」そのものの問題が顕在化している可能性がある。区役所に持ち込まれる“猫トラブル”の多くが猫と無関係の近所とのトラブルであったり(=不満が転嫁されている)、古い住民とノラ猫が共存していた横浜市西区では、整備・開発で新しい住民の増加すると苦情が急増したりした

直接の関係はありませんが、この黒沢さんという人はバイタリティに溢れていて、「チェンジ・エージェント」(P.F.ドラッカーがいう組織の変革者)としてもすごい人です。利害関係者たちの合意をつくろうと、彼は「ニャンポジウム」という場を企画するんだけど、

より多くの区民に参加してもらうために各種発行物で広報はする。しかし、広報を
見てきたなんていう人はあまりいないものだ。これは「みんなに呼びかけた」という行政の自己満足でしかない。(…)
本当に人を集めたいならば、開催テーマに切実な中心人物と接触して、主旨を説明したうえで仲間に呼びかけてもらうことが一番だ。

」(p49)

なんていうあたり、参考になります。

発表後のディスカッションでは、Webサイトを有効活用するなら「地域猫を快く思わない人」「猫のトラブルに直面している人」、さらには「地域猫に関心がない人」(プル型メディアのWebではなかなか難しいですが)に、適切なメッセージを発信するべきだね、といった意見がもらえ、刺激になりました。

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