「マイクロソフトでは出会えなかった天職」感想「理」編:優れた社会起業家としてのジョン・ウッド

Posted on 2007年10月25日. Filed under: poverty | タグ: , , , , , |

さて、「「マイクロソフトでは出会えなかった天職」感想「情」編:もしあなたが、子供のころ本さえ自由に読めない環境だったとしたら?」に続き、今度は「理」編を書く。

ジョン・ウッドは「ルーム・トゥ・リード(Room to Read)」を組織として整えていくにあたって、彼がマイクロソフト在職中に学んださまざまな原則を手本にしたと書いている。
だからこの「マイクロソフトでは出会えなかった天職」には、ビジネスパーソンとして読んでも共感できるプラクティスが沢山詰め込まれているんだけど、それをまとめてみたい。

  • 慈善活動の世界にビジネスのルールを持ち込む
    一例として、市場からの圧力が弱い慈善活動の世界では「折り返し電話します」といったルールも守られないことが多いと彼は指摘する。またルーム・トゥ・リードに大きな投資をしたビル・ドレーパーは、「非営利団体には『仕事は9時から5時まで』の精神の持ち主が多すぎる」と言い放つ。
    そこにビジネスのルールを持ち込めば、差別化につながるということ

  • 寄付を得るための能力を意識的に磨く
    自分たちのビジョンやビジネスモデルに寄付をしてくれそうな人に「売り込む」能力の開発を、多くの慈善活動団体が些細な仕事とみなし、避けて通りたがるという。が、資本主義は資本がすべてであり、寄付金は活動の血液だという姿勢を彼は貫く。
  • 寄付者にメリットや強みを訴求し共感を得る
    ターゲットである富裕層は自分自身「教育」が役立った経験をしている点に注目し、「今度はそのお返しを」と訴える。「8000ドルの寄付でネパールに学校が一校建つ」など具体的な効果をアピールし、運営コストの抑制で寄付の9割を実際のプロジェクトに投下していることも強調する。つまり投資対効果のアピールだ。
    また、世界をよりよく変える教育への投資によってあなたがすばらしい気持ちを味わえる、という“経験の価値”にまで踏み込む。
  • 援助しっぱなしではない「チャレンジ・グラント」という仕組み
    旅行業界の歴史を通じて、レンタカーを洗車した人はだれもいない」。
    図書館や学校を無償の贈り物とせず、地元との共同投資とする(地元民は少額でもお金を出すか、でなければ労働を提供する)。援助先の住民に所有意識が生まれれば、施設をメンテナンスし続けてくれる。
  • ボランティアが自己組織的に資金を集める「チャプター」方式
    ニューヨーク、ロンドンなどの「マネー・センター」(裕福な都市)でボランティアが自己組織的にイベントを開催し、寄付を集める。フルタイムで貢献はできないが、世界を変えたいとは思っている多くの人に動いてもらう仕組みだ。
  • ビジョンは大胆に描く
    大胆な目標を描くほど、多くの人をひきつけるという。
    寄付をする人が抱きがちな「寄付をしても小さな変化しか起こせない」という不満も解消されるし、また協力者たちも、枠がなければ創造性をフルに働かせ、自分の役割を自分でつくりだす
  • 具体的な数字を最重要視し、説明責任を果たす
    マイクロソフト在職中、彼はスティーブ・バルマーの「きみは自分の数字も知らないのか」という叱責に恐れをなした。
    具体的な数字を重視し、たとえばメールの署名欄に以下のように記載する(数字は適宜更新)。

    《現在までの成果》学校200校、二カ国語の図書館2500カ所以上、本の寄贈120万冊、少女への長期奨学金1800人以上。私たちと一緒に教育を広めましょう。

    すべての慈善活動が似たような説明責任を果たしたら、社会部門に投資される金額は一気に増えるだろう」と彼は言う。
  • 普通の人のネットワークをつくる
    21世紀のアンドリュー・カーネギーは、裕福な白人男性ではない。21世紀のカーネギーとは、関心の高い世界中の市民のネットワークのことで、それをこれからつくるのだ」。
    大きな変化を起こすためには、少数の億万長者が小切手を切るだけでは十分でなく、意味ある人生のために何かをしたい、週に数時間くらいなら貢献できるという普通の人をたくさんネットワーク化することだ、と彼はいう。

原動力として「この世界を変えたい」という情熱はとても大切。だけどそれを大きな規模で実行したり、実行の効果を上げ続けるためには、仕組みづくりがより重要になってくる。

当たり前のことだが、社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)としてルーム・トゥ・リードを大きく飛躍させたジョン・ウッドは、「情」だけでなく「理」の人としても優れていると思う。

これを読んで心を動かされたあなたが、次にすべきアクションは?

ルーム・トゥ・リードの活動をさらに詳しく知りたいならRoom to Read(公式サイト)へ!
ジョン・ウッドのような人物が率いるRoom to Readを寄付で支援したいなら、直接
Make a Donation – Get Involved – Room to Read“へ! B’>

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