[management]「社員をサーフィンに行かせよう」から(その1)

Posted on 2007年7月11日. Filed under: CSR | タグ: , , |

顧客仕事に追われてどんどん凡庸になりそうなので、ちゃんとしたエントリーを書くための準備稿として吐き出しておく。

イヴォン・シュイナードの「社員をサーフィンに行かせよう」から。

「社員をサーフィンに行かせよう」と言っている私自身、世界中の自然を渡り歩いている。一年のおよそ半分は会社にいない。サーフィン、フライフィッシング、フリーダイビング(素潜り)。山登りもしばらく休んでいたが再開した。テニスもよくやる。今年も四月はカナダのブリティッシュ・コロンビア州に釣りに、六月はロシアとアイスランドに、七月にはワイオミング州に登山と釣りに行く予定だ。
これを私なりにMBAと呼んでいる。「経営学修士」ではなく、「Management By Absense(不在による経営)」だ。いったん旅行に出ると、私は会社には一切電話しない。そもそも携帯電話もパソコンも持っていかない。もちろん、私の不在時に、彼らがした決断を後で覆すことはない。社員たちの判断を尊重したいからだ。そうすることで、彼らの自主性がさらに高まるのだ。

私が企業家になって、すでに五十年近くの月日が経つ。そのことを打ち明ける心苦しさは、自分が「アルコール依存症」や「弁護士」であると告白する人の心情に似ている。なにしろ、この肩書きに敬意を抱いたことは一度もない。ビジネスこそ、大自然の敵にして先住民文化の破壊者であり、貧しい人から奪ったものを富める者に与え、工場排水で土壌汚染を引き起こしてきた張本人なのだから。
それでもビジネスは、食べ物を作り、病気を治し、人口増加を抑え、雇用を生み出し、生活の質をおおむね向上させる能力を持っている。しかもこれらの善行をなすと同時に、魂を売り渡すことなく利益を上げることもできるのだ。

冒頭のこの二節を読めば、イヴォン・シュイナードが経営者としていかにエキセントリックであるかわかる。読み始め、「こういう本か」と身構えかかったが、この後をちゃんと読み進めば、彼が企業経営をきちんと研究し(かつ米国の大企業に学ばずに)、社員の満足度もとても高い会社の実現に成功していることがわかってくる。

一九七〇年には、シュイナード・イクイップメント社はアメリカ国内最大のクライミング道具会社になっていた。
そしてまた、環境の敵としての道も歩み始めていた。クライミングの人気は次第に高まっていたが、まだコロラド州ののエルドラド・キャニオンやニューヨーク州のシャワンガンク山脈、ヨセミテ渓谷といった人気ルートに集中し、同じ壁が何度も登攀の対象になっていた。
もろいクラックでは、打ち込み時、回収時ともに繰り返しハンマーで硬鋼製ピトンを叩いてきたせいで、岩の形がひどく損なわれつつうあった。エル・キャピタンのノーズルートを登ったとき、その二、三年前の夏には無垢だった岩が激しく変容しているのを見て、私はげんなりとして帰宅した。
フロストと私は、ピトン事業から手を引くことを心に決めた。長年にわたって歩むことになる環境配慮への道への大きな第一歩だった。ピトンはビジネスの主力であったが、私たちが愛する岩をこの手で壊していたのだ。

パタゴニア以前、シュイナードは山登り用品の会社を経営していたが、その最初の転進は「環境への配慮」からだった。これには驚いた。
現在のようなかたちの環境運動が生まれたのは1965~70年ぐらいにかけてだと言われている。彼がいかに早い時期に「環境とビジネスの折り合い」を考えていたかわかる。

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