真面目な会社が社風を伝える手段としてのCSRという話(オルタナのシンポジウム感想 後編)
雑誌「オルタナ」主催の「ソサイアタル・コミュニケーションとCSRの新しいパラダイム」というシンポジウムの参加メモ、後編。前編はこちらです。
CSRの裏づけとしての「ブランド知識構造化」と「ソサイアタル(Sociatal)性」という話(オルタナのシンポジウム感想 前編)
http://nakanohajime.wordpress.com/2008/11/21/alterna-symposium/
パネル・ディスカッションに登壇したのは以下の人たち。
王子ネピア株式会社「nepia 千のトイレプロジェクト」リーダー 今 敏之氏
日本ユニセフ協会 林田佳子氏
日本フィランソロピー協会 理事長 高橋陽子氏
オルタナ 編集長 森 摂氏
以下、ぼくのメモから「おっ」と思った点をシェア。ところどころにある「//」以下はぼくのコメントです。
王子ネピア 今 敏之さんの話
- ネピアのタグラインは「やわらかハート」 //その割には話し方が堅いなぁ…と感じました
- 上智大学の鶴見教授が言う「欧米型近代化でなく内発的発展を」を重んじている
- 企業は強いソサイアタル性を持っている。社会に利益をもたらすのが使命
- 2008年は国際衛生年であり、途上国で毎年150万人の子供がお腹を壊して亡くなっているという事実。それに対するユニセフの活動を知り「強く感銘を受けた」 のでスタートした
- プロジェクトには沢山の声をいただいた
- 「募金もいいが、目的がはっきりしていると貢献したくなる」
- 「ネピア商品を選んで買おうと思います」
日本ユニセフ協会 林田さんの話
- ユニセフは国連機関の中でも子供を対象にした活動をしているが、開発途上国に多数のスタッフがいるのが特徴
- 国連本体からはお金が出ていない。企業と民間の寄付で成り立っている
- 日本ユニセフ協会は、ユニセフの代理者として広報やアドボカシーを行っている
- 日本の募金では、個人が8割、全体で175億円ととても多い
- 19%を国内で使っている //募金額の2割・35億円も使っているって多くないか? ちなみにアジアに沢山の本を贈り、学校を建てている「ルーム・トゥ・リード」は確か5%以下って話だった
- かつて国連は政府とのパートナーを重んじていたが、2000年前後に変わった
- ユニセフの理念や価値観に合っているか、その企業が児童労働をさせていないかなどスクリーニングをして企業を選んでいる
- 「千のトイレ」は、パートナーが互いの強みを活かし、より多くの人の関心を喚起するという点で新しいパートナーシップのかたちになった
日本フィランソロピー協会 高橋陽子さんの話
- コーズマーケティングの目的がずばり売上アップ、ではダメ
- 主力商品でやること、かなり注力しないと結果的にうまくいかない
- エイボンの「ピンクリボン」は、口紅でやった。ハンドクリームではない
- やるためにはトップから現場までの共感が必要
- SRI(社会的責任投資)も日本では伸びないが、売る人が理解・共鳴していないのでは?
オルタナ 編集長 森 摂さんの話
- 献身的:見返りを求めない
- 持続的:すぐに止めない
- 独創的:横並びではない
- 歴史的背景、本業のコンテクスト、その会社ならでは、という発想で
- 本質的:表層をなぞらない
- 全社的:個人に頼らない
- 経営者の責任が思い。社内マーケティングも大切
パネル・ディスカッションの感想
短い時間のパネル・ディスカッションだったけど、なかでも光った発言を拾っておきます。
高橋さんは、「(企業はWWFやユニセフのような著名団体と組みたがるが、)企業のブランド力を活かして小さなNPOを育てるという姿勢も必要」と。これには共鳴した。
ぼく自身、できれば先鋭的な活動をしている小さな団体、事務局が肥大化していない団体、そして日本発の団体を(世界での日本のプレゼンスを上げる意味でも)支援するのがいいと思っていたので。
森さんは、「ネピアでは今さんはマーケティング部長。上場企業ではCSR部などがつくられると間接部門からのスライドが多いが、ネピアは立派」と。納得。
それに答えるかたちで出てきた今さんの言葉は、このシンポジウムに参加してよかった! と思えるものだった。
「ぼくは王子ネピアに入社して20数年。王子ネピアはとても真面目な会社です。ぼくはCSRに取り組むずっと以前から、エクセレントカンパニーの真似をするといった方法ではなく、この真面目な社風を伝えて商品を売る方法はないだろうかと、ずーっと考えていた」
触発されて、こんなことを考えた。
CSRはやはり企業の本業の延長上にあるべきで、だから、自社の強みを見つめるところから生み出した方がいい。「ためにする」ものではなく、自社のやっていること・できることについて深く考えもせずに寄付や植林などをしても、それは浅い。
本業との連続性を保ちながらステークホルダーに向けて何かを投げかけるのであれば、それは流行りのスタイルと違ったり、狭義のCSRとは違う姿に見えても、正しい、とか。




